製造分野分野における特定技能ビザの上乗せ規制について解説

特定技能制度は、即戦力となる外国人材を受け入れ、人手不足が深刻な産業分野の労働力を補うことを目的とした制度です。

この制度により、「技術・人文知識・国際業務」では認められていない単純作業を含む実務にも従事できるようになり、現場での実務対応力が重視される分野にとって重要な在留資格となっています。

特定技能には「1号」と「2号」があり、特定技能2号は、1号の取得後に一定の経験と指導力を持つ人材が対象です。本ページでは、製造業分野における特定技能1号の制度とその特徴を中心に解説していきます。

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特定技能1号における製造業分野の特徴

特定技能1号では、特定産業分野において“相当程度の知識や経験が必要な技能を持つ”外国人の受入れが認められています。その技能レベルは、特定技能評価試験の合格、または技能実習2号を良好に修了していることが証明されることで判断されます。

以前、製造業分野は特定技能1号の対象でしたが、特定技能2号には含まれていませんでした。しかし、2023年6月に閣議決定が行われ、製造業分野も特定技能2号の対象に追加されました。これにより、製造業における外国人のキャリアパスが拡充され、以下のようなキャリアプランが可能になりました。

📌 これからのキャリアプラン(例)

【STEP1】1~3年目:技能実習1号2号(単能工として働く)
  ↓
【STEP2】3~8年目:特定技能1号(多能工としてスキルアップ)
  ↓
【STEP2】9年目以降:特定技能2号(熟練工・監督者として現場管理)

これにより、外国人労働者が日本の製造業で長期的に活躍し、最終的にはマネジメント層や工場長といった役職に就くことが可能になります。

製造分野で特定技能1号を受け入れ可能な事業所の条件

製造分野において特定技能外国人を受け入れることができる事業所は、以下の条件を満たしている必要があります。

✅ 適正な事業所であること

受け入れ企業は、出入国在留管理庁の基準を満たしている必要があります。これは、事業の健全性や適正な労働環境の確保を目的としており、違反歴がある企業は受け入れが認められません。特に、過去に外国人労働者の労働環境に関して問題があった場合、厳しく審査されます。

受入れに関する要件をクリアしていること

特定技能外国人を受け入れる事業所は、過去に技能実習生の受け入れ実績がある、または適切な人材管理体制を有していることが求められます。これは、外国人労働者の適正な雇用と労働環境の整備を保証するためのものです。

  • 受入れ企業が技能実習を適切に運用してきた実績があることが望ましい
  • 受入れ企業が外国人労働者の生活・業務サポートを適切に行う体制を整えていること
  • 労働法令や安全管理に関する研修・指導を適切に実施できる環境を備えていること

「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」への加入

製造業分野で特定技能外国人を受け入れる企業は、「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」に加入する必要があります。この協議会に加入しなければ、特定技能1号の在留資格申請を行うことはできません。

💡 製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会とは?

「建設技能人材機構(JAC)」と同様に、製造業分野にも「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」が設置されています。この協議会は、特定技能外国人を受け入れる企業が法令を遵守し、適切に雇用できるようサポートすることを目的としています。

💼【主な役割】

  • 特定技能制度の趣旨や運用の周知
  • 受入れ機関に対する法令遵守の啓発
  • 外国人材の適正な雇用環境の整備
  • 優良事例の共有と情報提供

協議会への加入は、特定技能外国人を受け入れる企業にとって、適正な運用を行うための重要なステップであり、事業所の健全性を示す要件の一つとされています。
製造業で特定技能外国人を受け入れる企業は、出入国在留管理庁への在留資格申請を行う前に、この協議会へ加入することが義務付けられています。

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製造業における特定技能の業務区分

このように製造業では、上乗せ規制に加えて、製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会への加入が義務付けられるなど、他の分野よりも厳しい管理体制が求められています。

一方で、企業や外国人材の負担を軽くするための制度的な配慮も行われています。
その代表的な例が、特定技能における業務区分の簡素化です。

製造業における特定技能の業務区分は、以前は19の細かい業務区分に分かれていました。しかし、現場の多能工化のニーズに対応し、より実態に即した制度へと見直された結果、現在では「機械金属加工」「電気電子機器組立て」「金属表面処理」の3つの業務区分に統合されました。

1️⃣ 製造業の3つの業務区分

機械金属加工
鋳造、鉄工、塗装など、金属を加工・成形する業務。

電気電子機器組立て
機械加工や電気機器の組立て、電気部品の取り付けなど、精密機器の製造に関わる業務。

金属表面処理
めっき、アルミニウム陽極酸化処理など、金属部品の耐久性や防錆性を高める処理を行う業務。

2️⃣ 業務区分統合のメリット

この業務区分の統合により、以下のようなメリットが生まれました。

  • 業務範囲の拡大
    従来は特定技能の対象外だった作業も受け入れ可能となり、より広範な製造業務に対応できるようになった。
  • 柔軟な配置が可能
    業務区分の制限が緩和され、必要な作業に応じた配置がしやすくなった。
  • 特定技能外国人のキャリアアップが容易に
    幅広い業務に従事できることで、技能の習得・向上の機会が増え、特定技能2号への移行もしやすくなった。

このように、製造業の特定技能の業務区分の統合は、企業にとってはより柔軟な人材配置が可能になるというメリットがあり、外国人労働者にとってはキャリア形成の選択肢が広がるという利点があります。

製造業特定技能2号の要件

特定技能2号は、特定技能1号よりも高度な技能を持ち、現場での監督や指導ができる人材が対象となります。取得することで在留期間の更新が可能となり、長期的な就労が認められます。

1️⃣ 日本国内の製造業の現場で3年以上の実務経験を有していること。

実務経験を通じて、現場での作業スキルだけでなく、管理や指導の能力を培っていることが求められます。

2️⃣ 以下のいずれかの試験に合格すること。

  • ビジネス・キャリア検定3級+製造分野特定技能2号評価試験
  • 技能検定1級

これらの試験は、単なる実務経験だけでなく、高度な専門知識やリーダーシップ能力が備わっているかを測るものです。

⚠️ 製造業特定技能2号の合格率

2023年11月に実施された初回の特定技能2号評価試験の合格率は以下のとおりです。

  • 機械金属加工:65.8%
  • 電気電子機器組立て:28.0%
  • 金属表面処理:0%(合格者なし)

この結果からも分かるように、特定技能2号の取得は決して容易ではありません。特に「金属表面処理」では合格者がゼロとなるなど、高度な技術力が求められる分野もあります。

💡 特定技能2号取得のポイント

  • 長期的に日本で働くための重要なステップ
    特定技能1号では在留期間の上限が5年ですが、2号を取得すれば更新が可能となり、日本での長期就労が可能になります。
  • 現場リーダーとしての役割が期待される
    現場作業員としてだけでなく、後輩や他の外国人スタッフへの指導が求められるため、技術面だけでなくコミュニケーション能力も重要です。
  • 試験の難易度が高いため、計画的な準備が必要
    試験合格率からも分かるように、十分な実務経験と専門的な学習が不可欠です。計画的に学習を進め、必要なスキルを確実に身につけることが求められます。

製造業特定技能2号は、単なる作業者ではなく、現場のリーダーとしての資質が求められる在留資格です。取得を目指す方は、実務経験を積みながら必要な試験対策を進め、より高度なスキルを身につけることが重要となります。

まとめ

製造業における特定技能ビザは、従来の技能実習制度に比べ、よりキャリアアップを重視した仕組みとなっています。特に、特定技能2号の導入により、外国人材が熟練工として長期的に活躍できる可能性が広がりました。

しかし、製造業分野で特定技能外国人を受け入れる企業は、製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会への加入が必須であり、通常の特定技能ビザに比べて申請要件が厳しくなっています。

企業が特定技能外国人の受け入れを検討する際には、こうした業界独自の要件を事前に確認し、適切な雇用計画を立てることが重要です。


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