永住許可申請が不許可になる理由とは?主な原因と対策を解説

永住ビザを取得できれば、在留期間の更新が不要になり、日本での生活や就労の自由度が大きく広がります。一方で、永住許可の審査は非常に厳しく、近年その傾向はさらに強まっています。

2020年に出入国在留管理庁が公開したデータによると、その年に全国で永住許可申請を行ったのは合計57,570人で、そのうち許可が下りたのは29,747人でした。このデータを基に計算すると、許可率は約51.7%となり、申請者の約半数しか許可を得られていないことが分かります。

不許可の原因は、収入の安定性や納税状況、素行記録、提出書類の不備などさまざまですが、事前に代表的な理由を理解し、対策を取ることでリスクを軽減できます。

そこで本記事では、「永住許可を申請したいけれど、不許可になる理由が気になる」と考えている外国人の方に向けて、永住許可申請で不許可となる主な原因とその対策をわかりやすく解説します。

なお、永住許可では入管もチェックリストを公開していますが、それでも許可条件を誤解されている方が少なくなく、誤った判断が不許可につながるケースも見られます。入管への問い合わせは電話がつながりにくく、申請当日は長時間待たされることもあります。
調べものや手続きにかかる時間と労力を考えると、安心して進めるために専門家のサポートを受けることも有効な選択肢の一つです。

当事務所では、永住許可申請に関するご相談から申請書類の作成・申請代行まで幅広くサポートしています。「永住ビザはどのような場合に不許可になるのか」「不許可を避けるためにはどのような書類を提出するべきか」と迷われた際は、どうぞお気軽にご相談ください。

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※永住許可の審査基準は2022年頃から大きく変化しており、従来とは異なる点が多くありますのでご注意ください。

1️⃣ 日本滞在年数が10年未満など、そもそも許可要件を満たしていない場合

永住許可が不許可になる最も多い理由の一つが、基本的な許可要件を満たしていないケースです。永住許可の要件は「永住許可に関するガイドライン」に明記されていますが、実際の運用を理解していないと、自分が条件を満たしているのか判断しにくいことがあります。

永住許可の法律要件(ガイドラインより抜粋)

  • 素行が善良であること
  • 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
  • その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

ただし、日本人、永住者、または特別永住者の配偶者や子どもに該当する場合は、1と2の条件を満たさなくても許可される可能性があります。

素行が善良であること

「素行が善良である」とは、法律を遵守し、日常生活においても社会的に非難されるような行為がないことを指します。一般的に、犯罪歴がある場合はこの条件を満たしませんが、交通違反についても過度に繰り返していると問題となる場合があります。
例えば、短期間に多数の違反をしている場合や、飲酒運転や無免許運転のような重大な違反があると、審査で大きな影響を受けます。

独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること

これは、日本での生活において公的扶助を受けることなく、自立した生活ができることを意味します。具体的な収入基準は法律上明記されていませんが、実際の審査では、一般的に独身者の場合で年収300万円以上が目安とされています。扶養家族がいる場合は、その人数に応じてさらに高い収入が求められる傾向があります。

また、転職後間もない場合は「将来にわたって安定した生活が見込まれる」と判断されにくく、許可が下りないことがあります。そのため、永住許可申請は転職後最低でも1年以上経過してから行うことを推奨します。これは、帰化申請でも同様で、転職直後の申請では「1年以上経過してから審査を行う」と指導されることが多いためです。

永住が日本国の利益に合すると認められること

この要件には、いくつかの具体的な条件があります。

  • 引き続き10年以上日本に在留していること(このうち直近の5年以上は就労資格または居住資格であること)
  • 罰金刑や懲役刑を受けていないこと
  • 納税義務、公的年金、公的医療保険の保険料の納付を適切に履行していること
  • 現在の在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間(現時点では3年以上)を有していること

【外国への出国日数に関する注意点

永住許可申請では、日本に10年以上継続して居住していることが求められますが、長期間の海外滞在がある場合、継続した居住とはみなされず、居住年数のカウントがリセットされることがあります。

1回の出国が3カ月以上の場合、日本での継続居住が途切れたと判断され、カウントがリセットされる可能性があります。例えば、日本に4年間住んだ後、出産のために6カ月間母国に滞在した場合、日本での居住が途切れたと判断され、帰国後に再度居住年数のカウントが最初からやり直しになることがあります。

また、1年間の合計出国日数が100日以上に達すると、同様に継続居住が途切れたと判断される可能性が高くなります。以前は120日以内であれば許可が出ることもありましたが、近年は審査が厳格化しており、100日以上の出国があると許可が下りにくくなっています。

出国日数を正確に把握するため、事前に入国管理局に「出入国記録」の開示請求を行うことが推奨されます。この開示請求には約1カ月かかるため、余裕をもって手続きを進めることが大切です。

【年金・健康保険の未納についての注意点

年金や健康保険の未払いは、審査において非常に厳しくチェックされる項目です。審査対象期間に未納がある場合、ほぼ確実に不許可となります。また、納付自体は行っていたとしても、期限を過ぎてから支払った場合も未納とほぼ同じ扱いを受けることがあるため注意が必要です。

帰化申請の場合は、申請前に未納分を納付すれば許可されることもありますが、永住許可の場合は過去の未納分を後から支払っても不許可になることが多く、厳しく審査されます。さらに、国が公的に支払いを免除した期間がある場合でも、その間の生活が安定していなかったと判断され、不許可となる可能性があります。

ここまでに述べたような場合に該当する場合、そもそも永住許可の要件を満たしていないため、不許可となります。特に、日本での滞在期間が10年に満たない、安定した収入がない、納税や社会保険料の支払いが適切でない、長期間の海外滞在がある場合などは、申請の前にこれらの条件を満たすことが必要です。

一方で、これらの条件をすべて満たしていたとしても、不許可になる場合があります。次に、それらのケースについて詳しく説明していきます。

 ー注意 ー
AIやGoogle検索、自動翻訳を含むネット上の情報は、古い内容や不正確な記載、表現の違いによって誤解が生じる場合があります。
必ず最新の公式情報を確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが大切です。

【永住許可の不許可原因が不安な方へ】

情報に振り回される前にご相談ください。条件不足や書類不備を事前に確認し、不許可リスクを可能な限り回避できる方法をご案内します。申請準備の段階で確認しておくことで、修正や補強ができる余地が広がります。

無料相談では許可の見通しや必要な対応をご案内しています。お気軽にご相談ください。

📍 初回相談無料(メール1–2往復/オンライン相談30分)|1–2営業日以内に返信

ご希望があれば、理由書の作成から申請手続きまで一貫してサポートします。

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2️⃣ 過去の申請書類と今回の申請書類の内容に矛盾がある場合

今回の申請書類が永住許可の要件を満たしていたとしても、過去に提出した申請書類と記載内容に矛盾がある場合、高い確率で不許可となります。

永住許可申請が行われると、申請者の過去の入国管理局での申請履歴がすべて確認されます。これは、審査に時間がかかる理由の一つでもあります。過去に提出した書類と今回の申請書類の間で内容に違いがあると、どちらかが虚偽の申請である可能性を疑われます。

虚偽の申請が発覚した場合、「在留資格等不正取得罪」や「営利目的在留資格等不正取得助長罪」に該当する可能性があり、単なる不許可にとどまらず、在留資格の取消しや強制退去の対象となることもあります。

入国管理局は、法令に違反する申請については一切許可をしないという厳格なルールを徹底しています。そのため、過去の申請内容と矛盾がある場合、申請の信頼性が大きく損なわれ、許可が下りることは極めて難しくなります。

永住許可申請を行う前に、過去に提出した申請書類の内容を確認し、矛盾がないか慎重にチェックすることが重要です。特に、婚姻歴、職歴、収入、滞在歴などの情報に一貫性があるかを確認し、必要に応じて過去の申請書類を開示請求するなどの準備を行いましょう。もし記載内容に食い違いがある場合、その理由を明確に説明できるようにしておくことが大切です。

3️⃣ 申請後に状況が変わったにもかかわらず申告していない場合

2021年10月1日から、永住許可申請には「了解書」の提出が義務付けられました。

「了解書」とは、永住許可の審査結果が出るまでの間に、申請時の状況に変更があった場合、それを入国管理局に報告することを誓約する書類です。 具体的には、以下のような変化があった場合に申告する義務があります。

  • 就労状況の変更(転職・退職・失業など)
  • 配偶者との離婚や別居
  • 税金や社会保険料の滞納
  • 生活保護の受給開始
  • 刑罰法規により実刑が確定した場合

2025年現在、永住許可の審査には1年半以上かかることも珍しくありません。そのため、申請時には永住許可の条件を満たしていても、審査期間中に状況が変わり、要件を満たさなくなるケースが問題となっていました。このような事態を防ぐため、申請者は状況の変化を入国管理局に報告することが義務付けられました。

了解書は必須の提出書類であり、この誓約を守らずに状況の変化を報告しないまま永住許可を取得した場合、後に発覚すると永住許可が取り消される可能性があります。
また、虚偽の申請とみなされると、今後の在留資格の更新や他の申請にも悪影響を及ぼす可能性があるため、変更があった際は速やかに入国管理局に報告することが重要です。特に、税金の滞納や離婚などの重大な変化があった場合は、速やかに報告することが求められます。永住許可を確実に維持するためにも、申請後の状況変更には十分注意し、適切に申告することが重要になります。

最後に――「不許可になったらどうしよう…」と不安を感じている方へ

本ページで解説した不許可の理由は、裏を返せば事前に対策を講じることで永住許可の取得につなげることができるポイントでもあります。

永住許可申請は審査が厳しく、細かな条件を満たしていない場合には不許可となる可能性があります。主な不許可理由としては、在留状況や収入、納税履歴、理由書や添付書類の不備など、多岐にわたります。
また、条件を満たしていても、書類の一貫性が欠けていたり、説明が不十分であったりすると、不許可となるケースも少なくありません。

しかし、事前に十分な準備を行い、必要な対策を講じることで、許可を得られる可能性を高めることはできます。

✅ 自分が申請条件を満たしているか判断に迷っている
✅ 書類の不備や記載内容に自信がない
✅ 不許可リスクをできるだけ減らして申請を進めたい

このようなお悩みをお持ちの方は、下記のリンクから無料相談をご利用ください。
専門家があなたの状況に合わせて、許可の見通しや必要な対応などを丁寧にご案内します。

ご相談後、そのまま申請代行などをご依頼いただくことも可能です。
許可や審査遅延のリスクを減らし、準備の負担を大幅に軽減できるため、安心してお仕事や日常生活に専念していただけます。

迷っている方も、まずはお気軽にご相談ください。

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