高度専門職ビザの方が転職する場合にはどのようなことに注意すれば良いのか

高度専門職ビザは、2012年に導入された「高度人材ポイント制」に基づき、学歴・職歴・年収・日本語能力などを合算して70点以上で取得できる在留資格です。

多くのメリットがありますが、転職時には必ず変更申請が必要です。手続きを正しく理解していないと、転職先でビザが取得できないなどのリスクがあります。

高度専門職ビザの方が転職する場合の注意点ページのイメージ画像

この記事では、「高度専門職ビザを持っていて転職を検討している」「勤務条件の変更で不許可にならないか不安」という方に向けて、必要な手続きや申請書類、注意すべきポイントについてわかりやすく解説します。

なお、高度専門職ビザではポイント計算の仕組みや加算条件を正確に理解することが難しく、思い込みや情報の解釈違いが原因で、不許可や審査の遅延につながるケースも見られます。入管への問い合わせは電話がつながりにくく、申請当日は長時間待たされることもあります。
調べものや手続きにかかる時間と労力を考えると、安心して進めるためには、専門家のサポートを受けることも有効な選択肢の一つです。

当事務所では、ビザ申請に関するご相談から申請書類の作成・申請代行まで幅広くサポートしています。「転職先で高度専門職ビザの条件を満たしているか」と迷われた際は、どうぞお気軽にご相談ください。

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1️⃣ 高度専門職ビザの方が転職する場合の手続き

まず、高度専門職ビザをお持ちの方が転職する際に必要となる手続きについて解説します。

一般的な就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」の場合、入国管理局で新たな在留資格を取得する必要はなく、変更申請も不要です。転職後14日以内に「所属機関変更の届出」を行うだけで手続きは完了します。この届出は審査が行われるものではなく、即日完了するのが通常です。

一方で、高度専門職ビザをお持ちの方が転職する場合、通常は「在留資格変更許可申請」が必要となります。これは、高度専門職ビザが申請人と雇用先の会社をセットで審査する仕組みに基づいているためです。

高度専門職ビザの場合、パスポートに「指定書」がクリップやホチキスで留められています。この指定書には、氏名や国籍、許可の分類(例:1号ロ)、および許可を取得した際に雇用契約していた会社の名前が記載されています。つまり、高度専門職ビザで就労可能な場所は特定の会社と紐づいており、転職によりその紐づけが解消される場合には、現在のビザをそのまま使用することができません。

したがって、転職の際に現在お勤めの会社を辞めると今お持ちの高度専門職ビザはその許可された根拠を失うため、そのまま新しい勤務先で使い続けることができず、何かしら別の在留資格への変更申請が必要になります。なお、「在留資格”取得”許可申請」は日本国内で生まれた赤ん坊や、日本国内にいてアメリカの市民権を獲得し日本国籍を喪失する場合などに用いる特殊な申請になります。

転職後の在留資格の変更

転職先での職務内容や雇用条件に基づき、ポイント計算を再度行い、高度専門職の条件を満たす場合には「高度専門職」への変更申請が可能です。注意点として、転職前と転職後の高度専門職ビザは別のビザとみなされるため、同じ「高度専門職」に変更する場合でも、「在留資格”変更”許可申請」になります。

一方で、転職先の雇用条件や年収が高度専門職ビザの条件(年収300万円以上など)を満たさない場合には、以下のような選択肢があります。

【転職先の契約内容が、高度専門職ビザの要件を満たしていない場合の対処法(例)】

  1. 「技術・人文知識・国際業務」への変更申請
    • 学歴や職務内容の関連性が審査されるため、転職先の仕事内容がポイントとなります。
  2. 「日本人の配偶者等」への変更申請
    • 日本人と結婚されている場合、この選択肢が有効です。特に永住許可を目指している場合や、過去にこの資格に変更しなかった方が対象となります。

不許可のリスクと対応策

高度専門職ビザで「技術・人文知識・国際業務」の活動を申請した際、審査官が高度専門職の条件を満たさないと判断する場合、審査官から電話や郵送で「技術・人文知識・国際業務」への変更を打診されることがあります。

この打診は、高度専門職ビザの不許可が予測される際に行われるものであり、この打診があった場合には求められた追加書類を提出し、変更に応じることが推奨されます。打診に応じない場合、高度専門職ビザの申請が不許可となるリスクが高まりますので、慎重に対応することが重要です。

2️⃣ 転職する場合のビザ申請に必要な書類(高度専門職1号ロに変更する場合)

転職に伴い「在留資格変更許可申請」を行う際の必要書類について解説しますここでは、最もご相談の多い「高度専門職(1号ロ)」で「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の活動を行う場合を例に挙げます。

ただし、このようにインターネット上で紹介されている書類一覧や、出入国在留管理局のWebサイトに掲載されている情報は、あくまで最低限の目安です。実際の申請では、申請者の状況に応じて許可を得るために追加の書類が求められます。

以下の内容もあくまで代表的な例となりますので、ご参考の際はご注意ください。

📌【高度専門職1号ロに変更する際の必要書類(例)

  1. 在留資格変更許可申請書(指定規格の写真を貼付)
  2. 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
  3. 雇用契約書
  4. 雇用理由書
  5. 大学の卒業証明書
  6. 登記事項証明書
  7. 会社パンフレット
  8. 直近の年度の決算文書の写し
  9. ポイント計算表
  10. ポイント計算表の各項目に関する疎明資料(分量は個別の状況による)

※申請の際にはパスポート及び在留カードの提示が必要です

簡単に言うと、「技術・人文知識・国際業務」の変更申請で必要な資料に加え、ポイント計算表およびその各項目に関する説明資料を提出する必要があります。特にこの説明資料が重要で、以下のような書類が含まれます

📌【ポイント計算表の各項目に関する説明資料の例】

  • 過去勤務した会社の在職証明書
  • 住民税の課税証明書および納税証明書
  • 源泉徴収票
  • 給与見込証明書
  • 雇用契約書
  • 卒業証明書
  • 日本語能力試験の合格証の写し

すべての項目について資料の提出が求められるわけではありませんが、ポイント計算で合計70点以上となるために加算した項目については、それぞれの根拠資料を提出する必要があります。

ポイント計算で使用する「年収」について

高度専門職ビザのポイント計算で使用する「年収」は、過去の収入ではなく、今後1年間の予定収入です。この点が、他の就労ビザと異なるため注意が必要です。

予定収入は、「雇用契約書」や、場合によって勤務先の会社が発行する「給与見込証明書」に記載されている金額を基準にします。また、「住民税の課税証明書」や「源泉徴収票」は、この予定収入の信頼性を確認するために参考にされます。これにより、「過去に〇〇万円の収入があったため、次の1年間も同程度の収入が見込まれる」と判断されます。

 ー注意 ー
AIやGoogle検索、自動翻訳を含むネット上の情報は、古い内容や不正確な記載、表現の違いによって誤解が生じる場合があります。
必ず最新の公式情報を確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが大切です。

【転職でビザに影響がないか不安な方へ】

高度専門職ビザで転職する場合、転職先の職務内容・年収・学歴要件などが基準を満たしているかを確認することが重要です。条件を満たさないまま変更申請を行うと、不許可や在留資格取消のリスクもあります。専門家が、転職前に安全に手続きを進めるためのポイントを丁寧にご案内します。

無料相談では現状で取得できるポイントを簡易的に計算し、許可の見通しなどご案内しています。お気軽にご相談ください。

📍 初回相談無料(メール1–2往復/オンライン相談30分)|1–2営業日以内に返信

ご希望があれば、雇用理由書の作成から申請手続きまで一貫してサポートします。

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高度専門職ビザで転職する場合、転職先の職務内容・年収・学歴要件などが基準を満たしているかを確認することが重要です。
条件を満たさないまま変更申請を行うと、不許可や在留資格取消のリスクもあります。専門家が、転職前に安全に手続きを進めるためのポイントを丁寧にご案内します。

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所属機関変更の届出

「技術・人文知識・国際業務」の場合、転職後は転職から14日以内に「所属機関変更の届出」を行う必要があります。具体的には、以下の手続きが求められます。

  • 退職後14日以内に退職の届出を提出
  • 入社後14日以内に入社の届出を提出

高度専門職ビザへの変更の場合でも、この届出は必要です。届出は以下の方法で行えます。

  1. 窓口に直接提出
  2. オンライン申請(事前に利用者登録が必要)

オンライン申請を活用することで、窓口に行かずに手続きを完了できますが、事前の準備が必要です。計画的に進めましょう。

3️⃣ 転職の際、申請のタイミングには注意が必要

前述のように高度専門職ビザは許可を取得した会社と紐づけられているため、転職の際に現在の会社を退職すると、現在お持ちの高度専門職ビザはその許可の根拠を失います。直ちに在留資格を失うわけではありませんが、新しい勤務先で働き始める前に新しいビザを取得しておく必要があります。前の会社を退職後、転職前に2ヶ月以上経過するとビザの取得が難しくなる場合があるのでご注意ください。

ここで注意したいのは、「新しいビザを取得した日」とは「在留カードを取得した日」を指す点です。許可通知が届いた日ではありません。

在留資格変更許可申請では、窓口で申請時に住所を記入したハガキが渡されます。このハガキは、審査が終了すると記載した住所に郵送されます。ハガキが届いた後、入管へ行き、新しい在留カードを受け取った日が「新しいビザを取得した日」となります。この日から新しい勤務先での就労が可能になります。

高度専門職の転職と就労資格証明書交付申請

就労資格証明書は、日本で働く外国人が行う事業や活動が在留資格の範囲内であることを証明する書面で、出入国在留管理局で申請できます。「技術・人文知識・国際業務」の場合、この証明書を転職前に取得することで、転職後の更新手続きがスムーズになり、雇用側も安心して雇用できるというメリットがあります。

一方で、高度専門職ビザの場合、転職前に就労資格証明書の交付を受けることはできません。これは、高度専門職ビザが転職前後で別のビザとして扱われるためです。就労資格証明書は、既存の在留資格に基づき活動内容を証明する書類であり、高度専門職のように転職後に新たなビザを取得するケースには適用されません。

そのため、高度専門職ビザの方が転職する際には、退職前、事前に「在留資格変更許可申請」を行うことをお勧めします。内定が出ている場合、在留資格の取得を条件とした雇用契約書を作成することで、申請が可能です。

在留資格変更許可申請の流れと注意点

新しい在留カードを受け取る際、ごく稀に現在勤務している会社の「退職証明書」の提出を求められることがあります。そのため、念のため以下の手順で準備を進めておくことをおすすめします。

  1. 在留資格変更許可申請を行う
    • 必要書類を準備し、入管で申請します。
  2. ハガキが届く
    • 審査が終了すると、自宅にハガキが届きます。許可が下りた可能性が高い場合でも、詳細は一度入管で確認することをお勧めします。
  3. 退職届の提出と退職証明書の取得
    • 許可が確認できたら、退職届を提出し、退職証明書を取得します。
  4. ハガキを提出し、新しい在留カードを取得
    • 入管にて新しい在留カードを受け取ります。この際、窓口の方の判断で「退職証明書」の提出を求められることがあるようです。なお、この日から新しい勤務先での就労が可能となります。

ハガキだけでは許可の可否が不明な場合があります。その際は、直接入管で確認することで安心して手続きを進めることができます。

最後に――転職に伴うビザ申請について、お困りのことはありませんか?

高度専門職ビザでの転職は、職務内容や雇用条件が変わることで在留資格の要件に影響する場合があります。

✅ 転職時に必要な手続きや書類がわからない
✅ 新しい職務内容が高度専門職ビザの要件に合うか不安
✅ 申請や届出を専門家に任せて確実に進めたい

このようなお悩みをお持ちの方は、下記のリンクから無料相談をご利用ください。
個別事情に合わせて取得できるポイントを簡易的に計算し、許可の見通しや申請時に抑えるべきポイントについて丁寧にご案内します。

ご相談後、そのまま申請代行などをご依頼いただくことも可能です。
不許可リスクを減らし、準備の負担を大幅に軽減できるため、安心してお仕事や日常生活に専念していただけます。

迷っている方も、まずはお気軽にご相談ください。

📍 初回相談無料(メール1–2往復/オンライン相談30分 土日も予約可)|1–2営業日以内に返信


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