在留資格「介護」の取得条件と必要書類を解説|外国人介護職員の就労ビザガイド
深刻な人手不足が続く介護業界では、外国人材の採用ニーズが急速に高まっています。特に、訪問介護にも従事できる「介護ビザ(在留資格:介護)」を持つ外国人を雇用したいという声が多く寄せられています。

一方で、「制度が複雑でよく分からない」「申請手続きにどれほど手間がかかるのか不安」と感じる担当者も少なくありません。実際に、要件を満たしていないため許可が下りなかったり、書類不備で審査が長引いたりするケースもあるため、事前の確認が欠かせません。
本記事では、外国人介護人材の採用を検討している企業や介護施設の採用担当者に向けて、在留資格「介護」で就労するために必要な資格要件とその取得方法、ビザ申請時の提出書類を整理して解説します。制度の基本から実務上のポイントまで網羅していますので、「まずは概要を押さえておきたい」という方にも役立つ内容です。
介護職で取得できる主な在留資格
外国人が日本の介護業界で働くために取得できる在留資格には、以下の5つの種類があります。
📌 介護職で求められる主なビザ
- 在留資格「介護」(介護福祉士資格を持つ外国人向け)
- 特定技能(1号)(介護福祉士資格がなくても可、最長5年)
- EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者(インドネシア・フィリピン・ベトナム出身者向け)
- 技能実習(育成就労)(実習生として介護技術を習得)
- 身分系在留資格(永住者・日本人の配偶者等)(就労制限なし)
この中で、在留資格「介護」は、最も安定した長期雇用が可能なビザです。
在留資格「介護」とは?
在留資格「介護」は、介護福祉士の資格を持つ外国人が、日本の介護施設で介護業務に従事するための在留資格です。2017年9月に新設され、外国人介護職員の長期雇用を促進し、介護業界の人手不足を緩和することを目的としています。
在留資格「介護」で従事できる業務
この資格を取得した外国人は、介護業界における幅広い業務に従事することが可能です。主な業務内容は以下のとおりです。
- 身体介護(食事介助・入浴介助・排泄介助など)
- 生活支援(掃除・洗濯・買い物支援など)
- 介護記録の作成・家族との連携
- 介護施設でのチームケア業務
- 訪問介護(在留資格「介護」のみ可能)
在留資格「介護」は、訪問介護が可能な唯一の就労ビザであり、特定技能や技能実習では対応できない在宅介護サービスにも従事できるのが大きな特徴です。
✅ メリット
この資格を取得すると、以下のようなメリットがあります。
- 長期間の就労が可能
在留資格の更新が認められており、継続的に日本で働くことができる。 - 幅広い業務が可能
訪問介護を含め、介護施設だけでなく在宅介護にも従事できる。 - 特定技能・技能実習よりも柔軟な働き方
他の在留資格では業務範囲が制限されているが、「介護」ビザは幅広い介護業務に対応可能。 - 正社員としての雇用が可能
特定技能などでは契約社員や期間雇用が一般的だが、正社員として安定した職を得られる可能性が高い。
⚠️ 注意点
一方で、取得するためには以下のようなハードルがあります。
- 介護福祉士の資格取得が必須
このビザを取得するには、国家資格である「介護福祉士」の取得が必要。資格取得までのプロセスには一定の時間がかかる。 - 日本語能力試験(JLPT)N2以上が必要
介護福祉士の養成施設に入学するには、日本語能力試験(JLPT)のN2レベル以上の語学力が求められる。 - 採用には雇用契約と在留資格申請が必要
外国人を雇用する場合、適切な雇用契約の締結や在留資格の申請手続きを行う必要がある。
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在留資格「介護」の取得条件
在留資格「介護」を取得するためには、以下の条件を満たす必要があります。
👥【対象となる外国人】
- 日本の介護福祉士養成施設(専門学校など)を卒業し、介護福祉士の国家資格を取得した外国人
- 技能実習や特定技能(1号)で3年以上の実務経験を積み、介護福祉士試験に合格した外国人
📌【取得条件】
- 介護福祉士の国家資格を取得していること
- 日本語能力試験(JLPT)N2以上に合格していること
- 日本国内の介護施設と適正な雇用契約を結んでいること
- 日本人と同等以上の報酬を受けること
この中でも特に注意が必要なのが、「介護福祉士の国家資格を取得していること」です。
介護福祉士試験には受験資格があり、その取得方法はいくつかのルートに分かれています。介護福祉士国家試験の受験資格を得るための主なルートは、以下の4つです。
養成施設ルート
介護福祉士養成施設(専門学校など)で規定のカリキュラムを修了することで、介護福祉士国家試験の受験資格を得る方法です。
📌 【受験資格の条件】
- 普通科高校卒業者 → 2年以上の課程を修了
- 福祉系大学、社会福祉士養成施設、保育士養成施設の卒業者 → 1年以上の課程を修了
このルートは、未経験の方が介護福祉士を目指す場合の最短ルートになります。
⚠️ 【重要な変更点】
- 以前は養成施設を卒業するだけで介護福祉士の資格を取得できましたが、2022年度から国家試験の合格が必須になりました。
- ただし、2026年(令和8年度)末までは経過措置が適用され、卒業後5年間は国家試験を受験せずに介護福祉士の資格を得ることが可能です。
- 5年経過後に資格を維持するには、介護業務の実務経験が5年以上あるか、国家試験に合格する必要があります。
実務経験ルート
介護の現場で3年以上(1,095日以上)働いた上で、実務者研修を修了することで受験資格を得る方法です。
特定技能や技能実習で実務経験を積んだ方が、このルートを利用することが多いです。
📌 【受験資格の条件】
- 介護施設などでの実務経験が3年以上(1,095日以上)
- 実際の業務従事日数が540日以上
- 実務者研修を修了していること(2016年度から義務化)
⚠️ 【注意点】
- 「実務経験3年以上」とは、単に3年間勤務するだけでなく、実際に業務を行った日数が540日以上必要です。
- 試験実施年度の3月31日までに、この日数を満たしている必要があります。
福祉系高校ルート
文部科学大臣および厚生労働大臣が指定した福祉系高等学校を卒業することで受験資格を得る方法です。
📌 【受験資格の条件】
- 指定された福祉系高校を卒業すること
- 特例高等学校卒業者は、卒業後9カ月以上の介護実務経験が必要
⚠️ 【2024年からの変更点】
- 以前は「実技試験」が必要でしたが、2024年から筆記試験のみになりました。
- 特例高等学校卒業者は「介護過程Ⅲ」を修了し、修了証明書を提出する必要がある。
EPA(経済連携協定)ルート
EPA(Economic Partnership Agreement)に基づき、インドネシア・フィリピン・ベトナムの外国人が介護福祉士を目指すルートです。
公益社団法人国際厚生事業団が紹介した受け入れ機関で、研修を受けながら国家試験の合格を目指す形になります。
📌 【受験資格の条件】
- EPA協定に基づき、日本で指定の研修を受けること
- 受験資格取得後、国家試験に合格すること
⚠️【2024年からの変更点】
- 実技試験が廃止され、筆記試験のみとなりました。
- 2024年5月以前に入国したEPA介護福祉士候補者も、「介護過程Ⅲ」の修了証明書を提出する必要があります。
- ただし、すでに実務者研修を修了している方は、登録申請時に「実務者研修修了証明書」を提出すれば、「介護過程Ⅲ修了証明書」の提出は不要です。
在留資格「介護」取得の流れと必要書類
在留資格「介護」を申請する際、申請者の状況によって必要な手続きが異なります。
🔹 申請者が海外にいる場合
→ 「在留資格認定証明書交付申請」 を行い、ビザを取得してから日本に入国
🔹 既に日本に在留資格を持っている場合
→ 「在留資格変更許可申請」 を行い、現在のビザから「介護」に変更
🔹 現在の在留資格を維持したまま滞在期間を延長する場合
→ 「在留資格更新許可申請」 を行い、滞在期間の延長を申請
「在留資格取得許可申請」は、日本で生まれた赤ちゃんなど、特殊なケースで使用される申請です。介護職員の申請には該当しません。申請書の様式は申請内容によって異なるため、事前に適切な書類を準備することが重要です。
📄 在留資格「介護」申請に必要な書類
在留資格「介護」の申請時には、主に次の書類が必要になります。
📌 【基本的な提出書類】
- 申請書(指定の規格を満たした写真を貼付)
- 介護福祉士登録証の写し
- 雇用契約書
- 会社のパンフレットや事業概要が分かる資料
- 派遣の場合、派遣先の業務内容が分かる資料(労働条件通知書など)
- 技能移転に関する申告書(技能実習からの移行者のみ)
以下、それぞれの提出書類について解説します。
1️⃣ 申請書
申請内容に応じた指定の書式を使用し、顔写真を添付して提出します。
2️⃣ 介護福祉士登録証の写し
在留資格「介護」を申請するには、日本の介護福祉士国家試験に合格し、登録証を取得していることが必須条件です。登録証の写しを提出し、資格を有していることを証明する必要があります。
3️⃣ 雇用契約書
申請者が日本の介護施設や事業所と適正な雇用契約を結んでいることを証明するために必要です。雇用契約の内容には、報酬が同職種の日本人と同等以上であることが求められます。
4️⃣ 会社のパンフレットや事業概要資料
申請先の介護施設や事業所の業務内容を説明する資料です。
事業の適正性を証明するために、法人の概要が分かるパンフレットや会社案内を添付すると審査がスムーズになります。
5️⃣ 派遣の場合、派遣先の業務内容を示す資料
在留資格「介護」では、派遣社員としての就労も可能ですが、派遣での勤務は審査が厳しくなる傾向があります。派遣で働く場合、雇用元(派遣元)だけでなく、派遣先の業務内容も審査対象となるため、以下の点に注意が必要です。
⚠️ 【派遣での就労における注意点】
- 審査は「派遣元」ではなく、「派遣先の業務内容」を基準に行われる
- 派遣先の業務内容が分かる資料を初回申請時に提出するのが望ましい
- 労働条件通知書は発行義務がないため、勤務先に発行を依頼する必要がある場合もある
📍 【重要なポイント】
労働条件通知書が提出されていない場合、追加資料の提出を求められる場合があります。
また、雇用契約書の内容だけでは派遣先での業務内容が明確でないと判断されると、追加資料の提出が求められ、その分審査期間が通常より2~3週間程度長引く可能性があります。
そのため、初回申請時点で労働条件通知書も提出するのが最もスムーズな方法です。
6️⃣ 技能移転に関する申告書(技能実習からの移行者のみ)
技能実習から在留資格「介護」に移行する場合、技能移転が適切に行われたことを証明する書類が求められます。
これは、技能実習制度の趣旨に沿った移行であることを確認するための書類です。
まとめ
在留資格「介護」は、長期的な就労や安定したキャリア形成を可能にするビザです。
申請に必要な書類は多岐にわたりますが、事前に適切な準備をすることでスムーズな取得が可能です。
📌 重要ポイント
- 資格取得のハードルは高いが、その分、長期的な雇用と安定したキャリア形成が期待できる
- 申請時の書類不備や追加資料の要求に備え、事前に必要書類を揃えておくことが重要
- 派遣での就労は審査が厳しくなるため、派遣先の労働条件通知書などを準備しておくと良い
外国人介護職員の採用を検討している企業や介護施設は、適切な手続きを理解し、スムーズなビザ取得をサポートする体制を整えましょう。
最後に――外国人介護人材の採用で、お困りのことはありませんか?
在留資格「介護」の申請では、学歴や資格、勤務内容が要件を満たしているかを正しく整理し、証明することが求められます。要件の見落としや書類不備は、不許可のリスクを高めるため注意が必要です。
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