経営管理ビザで自宅を事務所として登録する場合の注意点
経営管理ビザに関するご相談の中で、よくいただくのが「自宅を事務所として登録したい」というお問い合わせです。
確かに、自宅を事務所として登録できれば、事務所を借りるための資金や、適切な物件を探す手間を省けるため、大きなメリットがあります。

また、法人の本店所在地を自宅の住所に変更する登記自体は可能です。そのため、経営管理ビザの申請においても自宅を事務所として登録できるとお考えの方が多いようです。
しかし、経営管理ビザを取得する際に自宅を事務所として申請する場合、審査は通常よりも厳しくなるのが現実です。住宅を事務所として申請して許可が下りるケースは多くありません。
個人的には、自宅を事務所として登録するのは、他に選択肢がない場合の最終手段とするべきだと考えます。それでもなお、自宅を事務所として申請したいという方のために、このページでは、自宅を事務所として申請する際に経営管理ビザの取得が可能となる条件について解説していきます。
1.許可が出る可能性のある建物
まず大前提として、自宅兼事務所として経営管理ビザの許可が下りるのは一戸建ての場合のみです。マンションの場合、たとえ広さが4LDKであっても許可が出ることはありません。
経営管理ビザで求められる事務所には、構造的な独立性が必要とされています。そのため、事務所と居住区画が明確に区分されていなければなりません。具体的には、「事務所へ行くための通路」と「住居に入る通路」が重ならないことが求められます。つまり、原則として事務所と自宅の入口は別々であることが必要です。
自宅兼事務所として許可が下りる可能性があるのは、例えば以下のような建物です。
- 2階建て以上の一戸建てで、二世帯住宅のように入口が2つに分かれている建物
このような建物の場合、例えば1階をすべて事務所として利用し、住居部分の2階には外付けの階段から直接上がれる構造であれば、入国管理局の求める条件を満たす可能性があります。
逆に、1階を住居、2階を事務所とした場合でも、条件を満たせば許可が下りる可能性はあると考えられます。
一方、入口が1つしかない場合、許可を得るのは非常に困難です。事務所部分と住居部分がどうしても交わってしまうためです。この場合、最低でも1階全体を事務所とし、2階を住居とすることで、玄関から直通で事務所に入れるようにする必要があります。しかし、それでも許可が下りるかどうかは、個別の判断によります。現在ではこの条件でも許可を得るのは非常に厳しい状況です。
さらに、1階の一部だけを事務所として使用する場合には、基本的に許可が下りません。これは、事務所と住居部分が明確に分かれていると判断されないためです。また、1階の大きな窓を事務所の入口とみなすことはできないというのが入管全体のスタンスです。この点も十分ご注意ください。
2.会社法人と居住者との間で必要な契約と契約書の作成
経営管理ビザで事務所として申請する物件は、所有物件でも賃貸物件でも認められます。しかし、いずれの場合でも事務所の名義人は申請する会社法人になっている必要があります。
ここで重要なのは、法的に「個人」と「法人」は別人格であるという点です。例えば、会社代表者個人が所有する住宅を事務所として使用する場合、その建物の所有者はあくまで個人であり、会社法人が無条件でその建物を使用できるわけではありません。
そのため、会社代表者個人と申請する会社法人との間で「使用貸借契約」を締結し、契約書を作成する必要があります。使用貸借契約とは、物件を無償で使用させる契約のことで、賃料を0円とする場合に成立します。一方、賃料を設定した場合には「賃貸借契約」となります。
作成した契約書は、申請時にその写しを入国管理局に提出します。この契約書には、光熱費の分担割合を明確に記載することが必要です。税務申告における家事按分の考え方と同様、住居部分と事務所部分の光熱費負担を具体的に分けることが求められます。
光熱費の分担割合についての記載が不明確である場合、入国管理局に事務所と住居が明確に区分されていないと判断される可能性があります。この点が原因で申請が不許可となるケースもありますので、契約書の作成時には注意してください。
3.外部からも会社の存在が分かるように郵便受けや看板などの設置
通常のビザ申請は書類審査のみで行われますが、経営管理ビザで自宅を事務所として申請する場合には、入国管理局の審査官が実際に事務所を視察に来る可能性があります。この際、外部から見て会社の存在が明確に分かるかどうかが重要なチェックポイントの一つとなります。
具体的には、会社法人専用の看板や郵便受けを設置することが求められます。看板については、立て看板のような簡易なものでも対応できる場合がありますが、可能であれば自宅の外壁などに設置し、簡単に取り外せないしっかりした構造のものを準備するのが理想です。看板のサイズは、遠目からでも会社の存在が確認できる程度の大きさが望ましいでしょう。
郵便受けについても、個人用とは別に会社用のものを準備し、会社名が明記されたネームプレートを付けるようにしてください。会社専用の郵便受けを用意することで、会社の独立性を視覚的に示すことができ、審査官への好印象にもつながります。
これらの準備は、単に形式的な要件を満たすだけではなく、事務所の実在性と独立性を明確に証明するための重要な要素です。視察時にプラス材料となる可能性が高いので、念入りに準備することをお勧めします。
4.事務所部分と住居部分が明確に分かれていることについての詳細な説明
前述のように、自宅兼事務所で経営管理ビザを申請する場合、「事務所部分と住居部分が明確に分かれているかどうか」が審査の重要なポイントとなります。そして、入国管理局の審査は、現地視察が行われる可能性があるものの、原則として書類審査が基本です。
そのため、事務所部分と住居部分がしっかり分かれていることを示す書類の準備が欠かせません。具体的には、平面図を作成し、建物のどの部分が事務所で、どの部分が住居であるかを明確に示しましょう。さらに、視覚的に伝わりやすくするために、平面図に写真を補足として添付することをお勧めします。
写真の準備に際しては、以下の点に注意してください。
- 建物の外観:看板が設置され、郵便受けに会社名のネームプレートが取り付けられている状態で撮影します。
- 室内の順路:玄関から事務所部分に至るまでの経路を、順路案内のように撮影します。
- 平面図との連動:平面図には、写真を撮影した位置や方向を番号などで記載し、審査官が確認しやすいよう工夫しましょう。
これらの資料を組み合わせて提出することで、事務所と住居が明確に分離されていることを効果的にアピールできます。特に、写真と平面図を連動させることで、審査官にとってわかりやすい説明が可能になり、書類審査の段階での評価を高めることが期待できます。準備の際は、細部まで丁寧に確認し、説明に不足がないようにしましょう。
自宅を事務所にする申請のリスクと最終的な注意点
ここまでご説明したように、必要な準備を整えたとしても、許可が下りるかどうかは個別の判断に委ねられ、確実に許可が得られるとは限りません。さらに、一度許可が下りた場合でも、次回の更新時に問題が発生する可能性があり、慎重な対応が求められます。経営管理ビザで自宅を事務所として申請することは、ビザ申請の中でも特に難易度の高いものに分類されます。
また、一度不許可となると、再申請において不利な影響を受ける可能性が高くなります。不許可となった場合、次回の再申請では新たに提出する資料だけでなく、不許可時の審査書類も再度精査されるため、基本的に審査期間が長引く傾向があります。そのため、「試しに申請してみる」というアプローチは現実的ではありません。
まずは、自宅以外に事務所を構える選択肢をご検討いただくことをお勧めします。事務所が自宅以外であれば、審査におけるハードルが下がる可能性が高いためです。
それでもやむを得ず自宅を事務所として申請する必要がある場合は、このページでご紹介した情報を参考に、十分な準備と正確な書類作成を行い、慎重に手続きを進めてください。不安や疑問がある場合には、専門家のサポートを受けることで、よりスムーズに進められる可能性があります。
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