外国人留学生を採用した際は「留学ビザ」から「就労ビザ」への変更が必要です

外国人留学生が日本で就職する場合、または企業が新卒の外国人留学生を採用する場合、「留学」ビザ(在留資格)から就労系の在留資格への「在留資格変更許可申請」が必要になります

「留学」ビザのままでは、資格外活動許可を得ている場合を除き、アルバイト以外の就労は認められません。そのため、正社員として働くためには、適切な就労ビザへの変更手続きが必要となります。

就労ビザには複数の種類がありますが、最も多くの留学生が変更するのは「技術・人文知識・国際業務」ビザです。ここでは、このビザへの変更を例に、必要な手続きと注意点について詳しく解説します。

(1)在留資格変更の条件をクリアしていることの確認

外国人留学生が「技術・人文知識・国際業務」ビザへ変更するためには、いくつかの条件を満たしている必要があります。特に重要なのが、学歴と職務内容の関連性の確認雇用契約の締結申請手続きの正確な実施です。

1️⃣学歴と職務内容の関連性の確認

📌大学・専門学校での学習内容と職務内容の一致が必要

「技術・人文知識・国際業務」ビザへ変更するためには、留学生が卒業した学校で学んだ内容と、就職先での職務内容が関連している必要があります

  • 大学卒業の場合
    • 関連性の基準は比較的緩やかであり、専攻と職務が完全に一致していなくても許可されることが多い。
  • 専門学校卒業の場合
    • 職務内容と専攻分野が密接に関連していることが求められる。関連性が不十分だと申請が不許可になる可能性が高いため、事前の確認が必要。

⚠️「卒業」だけでは不十分、学位の取得が必須

日本では、大学を卒業すると自動的に「学士」などの学位を取得できますが、海外では「卒業」と「学位取得」が分かれている場合があります

例えば、中国の大学では、卒業と学位取得が別々の制度になっているため、単に大学を卒業しているだけでは要件を満たさない場合があります。また、海外の専門学校は、日本の基準では学歴として認められないため、注意が必要です。

2️⃣実務経験による要件の充足(学歴がない場合)

学歴要件を満たさない場合、10年間の実務経験で要件をクリアする方法もあります。ただし、この方法での申請は非常に難しく、最終手段として考えるべきです

📌実務経験による証明の前提条件

実務経験を証明するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります

  • 10年間の実務経験を積んだすべての企業が現存している
  • すべての企業が在職証明書を発行し、必要な情報を提供してくれる
  • 過去の勤務先が、日本の入管からの問い合わせに適切に対応できる

これらの条件をクリアするためには、企業側の協力が不可欠です。また、実務経験の証明ができたとしても、個別のケースごとに審査が行われるため、入管との相談や確認が必須となります。そのため、基本的には学歴を満たしている場合にのみ申請を進めるのが望ましいです。

3️⃣雇用契約の締結

📌雇用契約の締結が必須

「技術・人文知識・国際業務」ビザへの変更には、採用企業と正式な雇用契約を結ぶことが必要です。内定のみでは申請ができず、申請時に雇用契約書を提出する必要があります

雇用契約書には、以下のような条件を記載するのが一般的です。

  • 「本契約は、在留資格及び在留期間について、日本国法務省の許可を条件とする」
  • 「出入国管理局から在留資格変更の許可を受けられなかった場合、本契約は無効とする」

これらの記載をすることで、ビザが取得できなかった場合にトラブルを防ぐことができます

4️⃣企業側の手続きと注意点

📌企業が代理で申請する場合の条件

留学生はすでに日本に在留しているため、雇用企業が代理で申請を行うことも可能です。ただし、企業が代理申請を行うためには、地方出入国在留管理局長から「申請等取次者」としての承認を受けていることが必要です。

⚠️申請時に必要な書類と注意点

就労ビザの申請には、「雇用理由書」や決算書の提出が必要です。特に、「雇用理由書」は、どのように作成すればよいか迷う企業も多く、正確な日本語で作成する必要があるため、専門家のサポートが求められることがあります。

また、企業の決算書も提出する必要があるため、これらの書類を留学生本人に渡す必要がある点にも注意が必要です。

5️⃣行政書士への依頼が多い理由

留学生から就労ビザへの変更は、多くの書類を正確に準備し、適切な手続きを進める必要があります

  • 「雇用理由書」の作成が難しい
  • 会社の決算書などを提出する必要がある
  • 企業が代理申請を行う場合、取次者の登録が必要

これらの理由から、留学生のビザ変更手続きを行政書士に依頼するケースが非常に多くなっています。行政書士に依頼することで、スムーズな申請が可能となり、申請のミスによる不許可のリスクを軽減することができます

(2)在留資格変更申請の流れ

日本の企業では4月採用が一般的であるため、ここでは4月入社を前提とした在留資格変更申請の流れについて説明します。

1️⃣申請開始時期とスケジュール

📌12月から申請受付が開始

留学生の場合、翌年春に卒業予定の内定者については、12月から在留資格変更許可申請の受付が始まります
これは、審査に1~2カ月程度の時間がかかることと、直前に大量の申請が集中すると入国管理局の対応が難しくなるためです。

申請が遅れると、許可が下りるのも遅くなります。例えば、3月に申請すると処理時間が通常より長くなり、許可が5月まで下りないこともあります。当然ながら、許可前に就労することは認められていないため、スムーズに入社するためには遅くとも2月上旬までに申請を完了させることが理想的です。

2️⃣必要書類と手続きの流れ

卒業証明書の代わりに「卒業見込み証明書」を提出

申請時点では、まだ卒業が確定していないため、「卒業証明書」は手元にありません。そのため、「卒業見込み証明書」を提出して申請を行います

  • 卒業証明書の提出タイミング
    • 3月の卒業後に「卒業証明書」を取得し、原本を入国管理局へ提示する。
    • これにより、在留資格変更の最終許可が下り、新しい在留カードが交付される

⚠️卒業時の長期不在に注意

在留カードの受け取りが完了しないと、変更手続きは完了しません
そのため、3月の卒業時期に卒業旅行や帰省などで長期間日本を離れてしまうと、在留カードの受け取りができず、更新期間を過ぎてしまうリスクがあります

3️⃣アルバイトの就労時間制限に注意

⚠️資格外活動許可を持つ留学生の注意点

留学生がアルバイトをする場合、「資格外活動許可」が必要ですが、週28時間以内の労働時間制限が厳しく設定されています

  • 就労時間制限を超えてアルバイトをしている場合、在留資格変更申請は許可されません
  • 留学生のビザ申請で最も多い不許可事例が、この就労時間オーバーによるものです

📌申請時に「資格外活動許可書」の提出が必要

資格外活動許可を持っている場合、申請の際に「資格外活動許可書」を提出し、アルバイト時間の確認が行われます
万が一、過去に週28時間以上のアルバイトをしていた場合は、申請が厳しくなるため注意が必要です

4️⃣申請準備時の注意点

⚠️書類の有効期限に注意

申請に必要な書類の中には有効期限が設定されているものがあります
そのため、事前準備の際には、どの書類をいつ取得すべきか計画的に進めることが重要です。

📌日本語能力の証明が求められる場合がある

「技術・人文知識・国際業務」ビザでは、日本語能力が直接の申請要件ではありませんが、業務に必要な日本語能力があるかどうかは審査のポイントの一つになります

  • 日本語能力試験(JLPT)でN3以上を取得していると、客観的な証明として有利
  • N3未取得でも、日本での滞在期間が長い場合は日本語能力があると判断されることがある
  • 企業側が「業務遂行に支障がないレベルの日本語能力がある」と証明することも重要

(3)外国人の方を採用した場合の届出義務の履行

外国人を採用した企業には、「外国人雇用状況報告」の届出義務があります。これは、外国人労働者の雇用状況を国が適切に把握し、雇用の安定や支援策を講じるために義務付けられた制度です。

詳しくは、以下のリンクをご参照ください。

[外国人の方を採用した会社の届け出義務]


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外国人留学生を採用する際には、適切なビザの変更手続きや必要な届出を正しく行うことが重要です。また、ビザの審査基準は頻繁に変更されるため、最新情報に基づいた準備が不可欠になります。
しかし、情報を得ようとしてもインターネットの情報は最新とは限らず、それを基にするAIはビザ申請のような専門的な手続きには不向きです。誤った情報に基づく申請は不許可のリスクを高めます。

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