飲食店で外国人を雇用する際にはどのような就労ビザが必要になるのか?

外国人が日本で就労する場合、仕事内容に合ったビザを取得していることが必要です。

飲食店で外国人を雇用する場合、以下のような在留資格が該当する可能性があります。それぞれのビザは就労可能な仕事内容の範囲や取得条件が異なるため、詳細を理解することが重要です。

📌【飲食店で採用する際に考えられる在留資格】


1️⃣技術・人文知識・国際業務
主にホワイトカラー職種が対象となり、飲食店での事務や経営に関連する業務に適用されることがあります。

2️⃣特定活動
留学生の卒業後の就労や特定の活動に限定された業務に従事する場合に適用される在留資格です。

3️⃣特定技能
飲食料品製造業や外食業における専門的な技能が必要とされる職種に該当します。外国人の即戦力となる人材を雇用する場合に活用されます。

4️⃣技能(調理技能ビザ)
高度な調理技術を持つ外国人料理人を雇用する際に適用されます。特に各国の伝統料理の調理が対象となります。

5️⃣身分系在留資格(日本人の配偶者等・永住許可など)
日本人の配偶者や永住者であれば、職種の制限なく就労が可能です。

6️⃣資格外活動許可のあるビザ(家族滞在・留学など)
家族滞在や留学ビザを持つ外国人で資格外活動許可を取得している場合、一定条件下でアルバイトとしての就労が認められます。

これらの在留資格は、対象となる仕事内容や取得条件がそれぞれ異なります。例えば、特定技能ビザでは業務内容が明確に規定されており、調理技能ビザでは高度な調理技術が求められます。一方、身分系在留資格を持つ場合には業務内容の制限がありません。

飲食店で外国人を採用する際には、対象者が適切な在留資格を有しているかどうかを確認することが非常に重要です。また、在留資格ごとの条件や活動範囲についても十分に理解しておく必要があります。以下に、各ビザの概要を簡単に解説します

1.技術・人文知識・国際業務

在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、外国人が日本でホワイトカラーの仕事に従事するための資格です。この資格では、飲食店のキッチンやホール業務のような単純作業を行うことはできません。飲食店でこの資格を利用して従事可能な業務には、スタッフの労務管理や店舗管理、マーケティング業務などが含まれます。

⚠️単純作業への従事を疑われやすい

飲食店で「技術・人文知識・国際業務」を申請する場合、入管は申請者が単純作業にも従事する可能性を疑う傾向があります。これを払拭するためには、「雇用理由書」などの書類を用意し、具体的に管理業務の内容や範囲を明示する必要があります。

📌店舗規模や仕事量の証明が重要

労務管理や店舗管理を職務内容として申請する場合、店舗の規模や業務量が十分であることを証明する必要があります。例えば、座席数や店舗の数が一定以上であることが許可の可能性を高めます。

ただし、インターネットでよく見かける「座席数〇〇以上」「店舗数〇〇以上」といった基準は、あくまで参考程度です。実際の判断はケースバイケースで異なります。たとえば、座席数が10以下で店舗が1つの場合は許可が難しい傾向がありますが、座席数が多い場合には店舗が1つでも許可される可能性はあります。

マーケティングや通訳・翻訳業務の場合

マーケティングや通訳・翻訳を職務内容とする場合には、外国人客が多いことを公的資料で証明できると有利になります。たとえば、多言語のWebサイトを運営している場合や、日常的に通訳・翻訳が必要な業務があることを示すことで、認められる可能性が高まります。

難易度は高いが選択肢として有効

飲食店で「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するのは、通常の申請と比較して難易度が高いと言えます。しかし、日本人の配偶者等や永住許可といった身分系在留資格に次いでお勧めできるのが、この在留資格を利用した雇用です。

2.特定活動

特定活動46号

「特定活動46号」は、日本の大学を卒業した外国人留学生を対象に、高い日本語能力を活用して幅広い業務に従事することを認めた在留資格です。この資格は2019年5月に新設された比較的新しいもので、他の在留資格にはない特徴を持っています。

通常、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では「単純作業」とされる清掃、食器洗い、レジ打ち、商品の陳列、簡単な接客などの業務に従事することはできません。しかし、「特定活動46号」では、これらの業務を一定の条件下で行うことが認められています。ただし、無制限に単純作業を行えるわけではありません。大学で学んだ内容に関連する業務を主業務とし、それに付随する形で単純作業を行うことが求められます。また、業務独占資格が必要な業務(例:法律や医療に関する業務)や風俗関係の業務に従事することは法律上認められません。

この在留資格は業務範囲が広い反面、取得条件が非常に厳しい点も特徴です。以下は具体的な取得条件です。

📌【特定活動(46号)の取得条件】

  1. 学歴要件:短期大学を除く日本の4年制大学を卒業しているか、大学院の課程を修了して学位を授与されていること。
  2. 報酬条件:日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上であること。
  3. 日本語能力要件:日本語能力試験(JLPT)N1に合格しているか、BJTビジネス日本語能力テストで480点以上を取得していること。
  4. 業務内容要件:大学または大学院で修得した知識や応用能力を活用できる業務内容であること。さらに、正社員または契約社員として雇用されること。

これらの条件が課されているため、「特定活動46号」を取得できる外国人は限られています。

日本の食文化海外普及人材育成事業の特定活動

「日本の食文化海外普及人材育成事業」に基づく特定活動ビザは、日本の食文化を海外に広めるため、調理の専門学校を卒業した外国人留学生を対象に設けられた制度です。この制度では、日本料理店で働きながら最長5年間、日本でさらに技術を学ぶことが可能です。農林水産省が主導するこの制度は、日本の伝統的な食文化の普及を目的としています。

現在では対象範囲が拡大され、日本料理に限らず、そば、うどん、寿司といった飲食店や菓子・パンの小売業、リゾートクラブ、旅館・ホテル内の飲食店も対象となっています。

「日本の食文化海外普及人材育成事業」の特定活動ビザを取得するためには、通常の特定活動の申請に加え、農林水産省に実習計画を提出しその認定を受ける必要があります。

3.特定技能

「特定技能」は、2019年4月に新設された外国人在留資格で、人手不足が深刻な特定の産業分野において、一定の専門性や技術性を有し即戦力となる外国人を受け入れることを目的としています。この資格では、「技術・人文知識・国際業務」では認められない単純労働を含む幅広い業務に従事することが可能です。

✅特定技能の取得条件

特定技能ビザの取得には、外国人本人に学歴の条件は課されません。ただし、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 特定技能能力試験の合格:技能実習からの移行者を除き、原則として特定分野ごとの技能試験に合格する必要があります。
  2. 日本語能力試験N4以上:日常会話ができるレベルの日本語能力が求められます。

これらの条件を満たすことで、特定技能ビザの申請が可能となります。

雇用する企業側の義務

特定技能ビザで外国人を雇用する企業には、以下の義務が課されます。

  1. 外国人支援計画の作成・実施:雇用する外国人が適切な労働環境で働けるよう、支援計画を策定し実行する必要があります。
  2. 登録支援機関への委託:支援計画の作成・実施を自社で行うことが難しい場合、登録支援機関に委託することが可能です。

💰登録支援機関への委託費用

外国人支援計画を登録支援機関に委託する場合、以下の費用が発生します。

  • 初期費用:登録支援機関に30~40万円程度の初期費用が必要です。
  • 月額委託費用:給与とは別に、月額2~4万円程度の委託費用を支払う必要があります。

⚠️特定技能ビザのメリットと注意点

特定技能ビザは、単純労働を含む業務に外国人が従事できる点で非常に有用ですが、企業側に求められる負担が大きい点に注意が必要です。特に、登録支援機関への依頼や支援計画の実施は、雇用主にとって重要な準備事項となります。

4.技能(調理技能ビザ)

飲食店では、「技能」ビザを取得することで、外国人が母国料理の料理人として働くことが可能です。ただし、このビザの取得にはいくつか厳しい条件があり、許可を得るハードルは高めです。

📌実務経験の証明が必要

技能ビザを取得するには、原則として10年以上の実務経験が必要です。この経験には、料理学校での学習期間も一部含めることが可能ですが、詳細な証明書類の提出が求められます。実務経験について虚偽の申告をするケースが一部で報告されており、入管当局はこの点に対して非常に慎重な審査を行っています。そのため、実務経験の正確な証明が重要です。

✅提供する料理の条件

技能ビザが認められるには、勤務する店舗で提供される料理が以下の条件を満たす必要があります:

  1. 外国で考案された料理であること:外国の独自文化に根ざした料理が対象となります。
  2. 日本で特殊な料理であること:日本国内では一般的ではない、特殊な料理を提供していることが求められます。

これらの条件を満たさない場合、技能ビザの取得は難しくなります。

認められない業務内容

技能ビザでは、調理業務に限り就労が認められており、ウェイターやレジ打ちなどの単純作業を行うことはできません。ビザ申請時には、職務内容が調理業務に限定されていることを明確にし、それを裏付ける資料を提出する必要があります。

⚠️注意点

技能ビザは、その特性上、外国人の方が日本で調理する必要性が高い場合に認められる制度です。例えば、一般的な日本料理や世界的に広く普及している料理(ピザ、パスタなど)は、技能ビザの対象外となる場合が多くなります。申請前に、料理の特性や店舗の特徴を十分に確認し、適切な資料を準備することが重要で

5.日本人の配偶者等や永住許可などの身分系在留資格

「日本人の配偶者等」や「永住者」といった身分系在留資格を持つ外国人は、他のビザと異なり就労に関する制限がありません。そのため、日本人と同様にどのような仕事にも従事することが可能であり、飲食店でホールスタッフやキッチンスタッフとしていわゆる単純作業を行うことも問題ありません。

📌就労制限の確認方法

在留カードの表面中央にある「就労制限の有無」の欄を確認することで、就労制限の有無を確認できます。「就労制限なし」と記載されている場合、職種を問わず就労が可能です。このため、飲食店などで働く際に通常の就労ビザが必要な場合と異なり、単純作業を疑われる心配もなく安心して雇用することができます。

✅飲食店での雇用に最適な選択肢

飲食店で外国人を雇用する際は、「日本人の配偶者等」や「永住者」などの身分系在留資格を持つ方を採用するのが最も安心な選択です。

これらの在留資格には就労制限がなく、ビザ申請の手続きや業務内容の制限を気にする必要がないため、飲食店にとって大きなメリットがあります。特に、飲食業では単純作業を伴う業務が多く、通常の就労ビザでは制限や審査上の疑念が生じることがありますが、身分系在留資格を持つ方であれば、これらの制限が一切ないため、安心して雇用が可能です。

そのため、飲食店での外国人雇用を検討する際には、まず身分系在留資格を持つ方を候補にすることをお勧めします

6.資格外活動許可のある家族滞在・留学ビザなど

家族滞在ビザや留学ビザを持つ外国人の方も、資格外活動許可を取得することで、飲食店でアルバイトをすることが可能です。この許可を取得している場合、ホールやキッチンでの単純作業を行うことも認められます。

📌資格外活動許可の確認方法

資格外活動許可を取得している場合、在留カードの裏面下部に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」といった記載があります。この記載がない場合、資格外活動が認められていないため、アルバイトを行うことはできません。外国人の方を雇用する際は、必ず在留カードで資格外活動許可の有無を確認してください。

⚠️アルバイト雇用時の注意点

外国人の方をアルバイトとして雇用した場合、原則としてハローワークへの届出が必要です。この手続きが怠られると、企業側が法的な責任を問われる可能性があります。また、資格外活動許可では週28時間以内の勤務時間制限があるため、勤務時間がこれを超えないよう管理することが求められます。

✅飲食店でのアルバイトにおけるポイント

資格外活動許可を取得している場合、外国人の方は飲食店で幅広い業務に従事できます。ただし、資格外活動許可の条件や範囲を超えた場合、不法就労と見なされるリスクがあるため、雇用者側も慎重な対応が必要です。特に、週28時間を超える労働や風俗営業に該当する業務への従事は禁止されています。

雇用の安心感

資格外活動許可を得た外国人のアルバイト雇用は、ビザの取得や更新の手間が少なく、比較的安心して採用を進めることができます。適切な管理と法的手続きを行うことで、飲食店での労働力確保に役立てることが可能です。


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