専門学校卒業者の「技術・人文知識・国際業務」許可事例【後編】|成功のポイントを解説

「技術・人文知識・国際業務」ビザの審査では、専門学校卒業者がどのように職務との関連性を示すかが大きな課題となります。特に、大学卒業者と比べて審査が厳しく、証明資料の準備が重要です。

前編では、比較的シンプルな許可事例を紹介しましたが、本ページ(後編)では、より審査が厳しくなるケースや、判断が難しいケースを解説します。

例えば、学んだ内容と職務内容の関連性が弱い場合、どのように申請を組み立てるべきか国が認定した専門学校卒業者に対する審査の緩和措置をどのように活用できるのかなど、実務的な視点で詳しく説明します。


専門学校卒業者のビザ申請を成功させるには、入管の審査基準を正しく理解し、説得力のある申請書類を準備することが不可欠です。より難易度の高いケースを解説する本ページを参考に、適切な対策を検討してください。

各事例をクリック(またはタップ)すると、許可となる理由についての当事務所の見解、同様の場合に許可を得るためのワンポイントアドバイスをご覧いただけます。

引用元:出入国在留管理庁のWebサイト

【許可事例9】情報システム開発学科卒業者が製造業企業でシステム開発・ネットワーク構築の仕事をする

情報システム開発学科でC言語プログラミング、ビジネスアプリケーション、ネットワーク技術などを履修した方が、日本の電気機械・器具製造企業と契約し、現場作業用システムのプログラム作成やネットワーク構築業務に従事することとなり、ビザを申請した結果、許可が下りました。

許可が認められた理由についての当事務所の見解

「技術・人文知識・国際業務」ビザでは、専門的な知識を活かす業務であることが求められるため、学んだ内容と職務内容の関連性が審査の重要なポイントとなります。本事例では、申請者が情報システム開発に関する知識を学び、実際の業務でもシステム開発やネットワーク構築に従事するため、専門性が認められたと考えられます。

  1. C言語プログラミングの専門性
    • C言語は処理速度が速く、システム開発や組み込みプログラミングなどに広く使われる汎用性の高いプログラミング言語です。
    • 習得の難易度が高く、独自の概念を理解する必要があるため、専門的な知識が求められる分野であると判断されやすい。
  2. ビジネスアプリケーション開発の専門性
    • 「ビジネスアプリケーション」とは、業務効率化やデータ管理を目的としたソフトウェアであり、一般的には「アプリケーション」や「アプリ」として認識されています。
    • 専門学校でこうしたアプリケーション開発を学んでいる場合、実際の業務内容がプログラマーやシステムエンジニアとしての業務であれば、十分な専門性が認められる可能性が高い。
  3. 業務内容と学んだ内容の関連性が明確である
    • 本事例では、実際の業務内容が「現場作業用システムのプログラム作成」や「ネットワーク構築」であり、専門学校で学んだプログラミング技術が活かされるため、ビザの許可が得られたと考えられます。
    • 特に、ネットワーク技術に関する知識を活かして、企業内のITインフラを支える業務を担当する場合、技術的な専門性が高いと評価される。

注意点:企業の業務内容と実際の職務の関連性を明確にする

本事例では、企業の主な業務内容が「電気機械・器具製造」であるため、一見するとIT業務とは関係が薄いように見えます。 しかし、実際の業務がシステム開発やネットワーク構築であれば、関連性が認められる可能性があります。

そのため、以下の点に注意して申請を進める必要があります。

  • 企業内にIT関連業務を行う部署や役職が存在することを証明する。
  • 申請者が製造業務ではなく、IT業務に従事することを明記した雇用契約書を提出する。
  • システム開発・ネットワーク構築が、企業の業務運営において重要な役割を果たしていることを説明する。

許可を得るためのワンポイントアドバイス

  1. 学んだ内容と業務内容の関連性を証明する
    • 専門学校でプログラミングやネットワーク技術を学んだことを証明する資料(成績証明書、カリキュラム詳細など)を準備する。
    • 企業の職務内容説明書や業務計画書を用意し、業務内容がシステム開発やネットワーク管理に関連するものであることを明確にする。
  2. 企業内にIT業務があることを証明する
    • 企業が製造業であっても、社内ITインフラの維持やシステム開発が必要であることを説明する。
    • 申請者が工場での製造業務には従事せず、IT関連の業務に特化していることを明記した書類を提出する。
  3. 職務内容がIT関連業務であり、単純作業ではないことを示す
    • 「現場作業用システムのプログラム作成」や「ネットワーク構築」が、IT専門職の業務であることを強調する。
    • 単なるシステム運用やサポート業務ではなく、開発や管理業務であることを明示するため、業務内容を具体的に記載した書類を準備する。

許可事例10】国際コミュニケーション学科卒業者が外国人スタッフの教育・マネジメント業務をする

国際コミュニケーション学科でコミュニケーションスキル、接遇研修、異文化コミュニケーション、キャリアデザイン、観光サービス論などを履修した方が、日本の人材派遣・人材育成・研修サービス事業を運営する企業と契約し、外国人スタッフの接遇教育・管理などのマネジメント業務に従事することとなり、ビザを申請した結果、許可が下りました。

許可が認められた理由についての当事務所の見解

「技術・人文知識・国際業務」ビザの「国際業務」分野では、和訳・通訳・語学指導といった業務が典型的な例とされますが、本事例のような業務内容は「国際業務」には該当しません。 そのため、専門学校で学んだ内容と職務内容に直接の関連性があることが、在留資格取得のための重要なポイントとなります。

本事例では、申請者が履修した「接遇研修」や「キャリアデザイン」の内容が、外国人スタッフの教育や管理業務と関連性があると判断されたため、ビザの許可が得られたと考えられます。

  1. 接遇研修と職務内容の関連性
    • 接遇研修とは、接客マナーに関するビジネス研修であり、顧客対応やサービス業における適切な言葉遣い・振る舞いを学ぶカリキュラム。
    • 外国人スタッフの接遇教育に関わる業務では、この研修で得た知識を直接活かすことができるため、関連性が認められやすい。
  2. キャリアデザインとマネジメント業務の関連性
    • キャリアデザインとは、個人が自身のキャリアや職業人生を主体的に設計する考え方。
    • 外国人スタッフの研修やキャリア育成を担当する業務では、キャリアデザインの知識が必要となるため、専門学校での履修内容と職務内容の関連性が認められた可能性が高い。

注意点:職務内容と専門性の証明が不可欠

本事例では、専門学校で学んだ接遇やキャリアデザインに関する知識が、外国人スタッフの教育・マネジメント業務に活かされるため、ビザの許可が得られたと考えられます。 しかし、以下の点に注意が必要です。

  • 単なる人事・労務管理業務や一般事務では、専門性が認められず、ビザ取得が難しくなる場合がある。
  • 業務内容が、外国人スタッフの教育・研修・マネジメントといった専門的なものであることを明確に示す必要がある。

許可を得るためのワンポイントアドバイス

  1. 学んだ内容と業務内容の関連性を証明する
    • 専門学校で接遇研修やキャリアデザインに関する授業を履修したことを証明する資料(成績証明書、カリキュラム詳細など)を準備する。
    • 企業の職務内容説明書や業務計画書を用意し、業務内容がスタッフ教育・研修・マネジメントに関するものであることを明確にする。
  2. 職務内容が単なる事務作業ではなく、専門的な知識を活かす業務であることを示す
    • 外国人スタッフの教育やキャリア育成が業務の中心であることを強調する。
    • 業務内容が単なる人事・総務ではなく、研修プログラムの設計やスタッフの成長支援に関わる業務であることを明示するため、企業側からの証明書を準備する。
  3. 専門学校卒業者向けの審査基準を理解し、適切な準備を行う
    • 専門学校卒業者は、学んだ内容と職務内容の関連性をより厳しくチェックされるため、申請前に十分な準備をする。
    • 人材育成や研修事業において、自身がどのような専門的役割を担うのかを明確に説明できるようにする。

許可事例11】国際ビジネス学科卒業者が飲食店経営会社の事業開発室で人材教育業務をおこなう

国際ビジネス学科で観光概論、ホテル演習、料飲実習、フードサービス論、リテールマーケティング、簿記、ビジネスマナーなどを履修した方が、日本の飲食店経営会社の本社事業開発室において、アルバイトスタッフの採用・教育、入社説明資料の作成といった業務に従事することとなり、ビザを申請した結果、許可が下りました。

許可が認められた理由についての当事務所の見解

一般的に、「技術・人文知識・国際業務」ビザで新人教育などの職務に従事する場合、実務経験を有していることが望ましいとされています。しかし、本事例では、申請者が専門学校を卒業してすぐの方でありながら、ビザの許可が得られています。

これは、専門学校で学んだ内容に「ホテル演習」「料飲実習」「フードサービス論」「ビジネスマナー」などが含まれており、スタッフ教育に必要な基礎知識を備えていると判断されたためと考えられます。

  1. 履修内容と職務内容の関連性が認められた
    • 専門学校での「ホテル演習」「料飲実習」「フードサービス論」などの科目は、接客やサービス業に関する実践的な知識を学ぶためのカリキュラムであり、人材教育業務と関連性が高いと考えられる。
    • また、「ビジネスマナー」の履修は、入社説明資料の作成やスタッフの接遇教育を行う上での基礎知識と見なされる可能性がある。
  2. 専門的な知識を活かした業務であることが評価された
    • 「アルバイトスタッフの採用・教育・入社説明資料の作成」は、単なる事務作業ではなく、人材育成や組織運営に関わる業務であるため、専門的な知識が必要な業務として認められた可能性が高い。
    • 人事や教育業務は、一般的に実務経験が求められるが、本事例では、専門学校での学習内容がその代替となる知識基盤として評価された可能性がある。

注意点:職務内容と履修内容の一致が求められる

本事例では、専門学校での履修内容が職務内容と密接に関連していたため、ビザの許可が得られました。 しかし、以下の点に注意が必要です。

  • 専門学校で「ホテル演習」「フードサービス論」「ビジネスマナー」などを履修していない場合、新人教育業務を職務内容とすることは難しい可能性がある。
  • 業務内容が単なる事務作業(スタッフのシフト管理や事務処理など)とみなされると、ビザの許可が得られない可能性が高い。

許可を得るためのワンポイントアドバイス

  1. 学んだ内容と業務内容の関連性を証明する
    • 専門学校で履修した科目が、新人教育やスタッフマネジメントに活かされることを明確に示す資料(成績証明書、カリキュラム詳細など)を準備する。
    • 企業の職務内容説明書や業務計画書を用意し、業務内容が単なる事務ではなく、人材育成に関わる専門的な業務であることを明確に示す。
  2. 業務内容が専門的な知識を活かしたものであることを強調する
    • スタッフの教育・研修が主な業務であることを明記し、単なる事務作業ではないことを示す。
    • 会社側から、業務内容が人材育成・研修に関するものであることを記載した業務内容証明書を提出する。
  3. 職務内容が変更されないように注意する
    • 入社後に業務内容が変更され、新人教育業務から単なる一般事務に移行する場合、ビザの更新が難しくなる可能性があるため注意が必要。
    • 企業側にも、申請者の業務内容が専門的なものであり、単純作業ではないことを理解してもらうことが重要。

許可事例12】観光・レジャーサービス学科卒業者が大型リゾートホテルの総合職として勤務する

観光・レジャーサービス学科で観光地理、旅行業務、セールスマーケティング、プレゼンテーション、ホスピタリティ論などを履修した方が、日本の大型リゾートホテルの総合職として採用され、フロント業務、レストラン業務、客室業務などをシフト制で担当することになり、ビザを申請した結果、許可が下りました。

許可が認められた理由についての当事務所の見解

申請の際、業務内容の詳細を確認したところ、一部にレストランでの接客、客室備品オーダー対応など「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当しない業務が含まれていました。しかし、主な職務がフロントでの翻訳・通訳業務、予約管理、ロビーでのコンシェルジュ業務、顧客満足度分析などであり、他の総合職採用の日本人従業員と同じ業務内容であることが確認されたため、ビザの許可が認められたと考えられます。

  1. 単純作業が主業務ではないことが確認された
    • 「技術・人文知識・国際業務」ビザでは、単純作業を主業務とすることは認められていません。
    • 本事例では、フロント業務、レストラン業務、客室業務が業務に含まれているものの、これらが主な業務ではなく、総合職としての管理業務や接客マネジメントが主軸となっているため、許可が認められた可能性が高い。
  2. 専門学校での履修内容と職務内容の関連性が認められた
    • 申請者が履修した「観光地理」「旅行業務」「ホスピタリティ論」などの科目は、ホテル業務の知識を学ぶカリキュラムであり、フロント業務やコンシェルジュ業務と直接関連している。
    • 「セールスマーケティング」「プレゼンテーション」の履修は、予約管理や顧客満足度分析といった業務を行う上での基礎知識として評価された可能性がある。
  3. 他の日本人従業員と同等の業務内容であることが評価された
    • 本事例では、申請者が総合職採用であり、日本人の同僚と同じ業務内容であることが確認された。
    • これにより、外国人だからといって単純作業のために雇用されているのではなく、専門的な知識を活かした業務を担う人材であることが証明された可能性がある。

注意点:職務内容の詳細な説明が求められる可能性がある

本事例のように、一部の業務に単純作業が含まれている場合、主な職務が専門的なものであることを明確に証明する必要があります。 そのため、以下の点に注意することが重要です。

  • 申請時に、具体的な職務内容や業務の割合を示す資料(職務説明書・業務計画書)を提出する。
  • 業務のスケジュールや役割分担を説明し、単純作業が主業務ではないことを明確にする。
  • 「他の総合職採用の日本人従業員と同じ業務内容である」という点を強調する。

許可を得るためのワンポイントアドバイス

  1. 学んだ内容と業務内容の関連性を証明する
    • 専門学校で履修した科目と業務内容の関連性を示す資料(成績証明書、カリキュラム詳細など)を準備する。
    • 企業の職務内容説明書や業務計画書を用意し、業務内容が管理業務や接客マネジメントに関するものであることを明確にする。
  2. 業務内容が専門的なものであることを強調する
    • 業務の中心がフロント業務やコンシェルジュ業務であることを説明し、レストランや客室業務がメインではないことを明示する。
    • 会社側から、申請者の役割が一般的な接客スタッフではなく、総合職としての管理業務を含むものであることを記載した業務内容証明書を提出する。
  3. 職務内容の詳細を明確にするため、追加資料を準備する
    • 日々のスケジュールや業務内容の詳細を示した資料を準備し、主な職務が単純作業ではないことを明確にする。
    • 特に、顧客満足度分析や予約管理といった業務が職務の中心であることを示すことが重要。

許可事例13】工業専門課程卒業者が金属工作機械製造企業で精度調整・プログラム作成の仕事をする

工業専門課程のロボット・機械学科で基礎製図、CAD実習、工業数理、材料力学、電子回路、プロダクトデザインなどを履修した方が、日本の金属工作機械製造企業において、初年度研修後、機械の精度調整、加工設備のプログラム作成、加工工具の選定、工作機械の組立作業などに従事することになり、ビザを申請した結果、許可が下りました。

許可が認められた理由についての当事務所の見解

申請の際、同社で同様の業務に従事する他の日本人従業員の学歴・職歴・給与について確認が行われたところ、同じ業務を担当する日本人従業員は理工学部を卒業した者であり、同様の学歴要件で募集が行われていること、さらに申請者と同額の給与が支払われていることが判明したため、ビザの許可が認められました。

本事例の職務内容には、機械の精度調整、加工設備のプログラム作成、加工工具の選定、工作機械の組立作業が含まれており、一般的には「単純作業」と判断されやすい業務です。そのため、通常であれば「技術・人文知識・国際業務」ビザの対象とはならず、許可が難しい職種と考えられます。

しかし、本事例では以下の要素が考慮され、例外的に「単純作業ではない」と判断された可能性が高いと考えられます。

  1. 職務内容が実際には専門性を要する業務であると認められた
    • 同じ業務を担当する日本人従業員が、理工学部を卒業した技術者であることが確認された。
    • 求人募集でも「大卒相当程度の学歴」が要件とされており、単なる作業員ではなく、専門的な知識を必要とする業務であると判断された。
    • 申請者の給与も同様の業務に従事する日本人と同額であることが確認され、待遇面でも専門職としての妥当性が認められた。
  2. 学歴と職務内容の関連性が認められた
    • 申請者が履修したCAD実習、工業数理、材料力学、電子回路といった専門科目が、実際の業務(精度調整・加工プログラム作成・工具選定など)と関連していることが確認された。
    • 学んだ内容を活かして、機械設計や加工精度の最適化といった業務に従事することが明確であったため、専門職としての妥当性が認められた可能性が高い。

注意点:全てのケースで許可されるわけではない

本事例のような場合、同じような業務内容であっても、必ずしもビザの許可が得られるとは限らない点に注意が必要です。

  • 企業の業務内容や業務の専門性の説明が不十分な場合、単純作業と判断される可能性がある。
  • 同じ業務を行う日本人従業員の学歴・職歴が、申請者よりも明らかに高い場合、申請者の業務が補助的な作業であると見なされ、不許可になる可能性がある。
  • 企業側が「専門職としての業務内容」を明確に説明し、申請者の職務が技術的な専門知識を活かすものであることを証明する必要がある。

許可を得るためのワンポイントアドバイス

  1. 学んだ内容と業務内容の関連性を証明する
    • 専門学校で履修した科目と、実際の職務内容の関連性を示す資料(成績証明書、カリキュラム詳細など)を準備する。
    • 企業の業務説明書や職務計画書を用意し、業務内容が単なる機械加工ではなく、専門的な知識を活かしたものであることを明確に示す。
  2. 職務内容が専門職であることを強調する
    • 精度調整や加工プログラム作成が、単純な作業ではなく、専門的な知識を要する業務であることを説明する。
    • 企業側から、申請者の職務が技術者レベルであり、作業員とは異なるものであることを記載した業務内容証明書を準備する。
  3. 業務内容の詳細を明確にし、同じ業務を担当する日本人従業員との比較を提示する
    • 企業内で同じ業務を担当する日本人従業員の学歴や職歴、給与などの情報を整理し、申請者の業務が同等の専門性を持つことを証明する。
    • 求人情報や採用条件を示し、申請者が単なる作業員ではなく、専門職として採用されていることを明示する。

許可事例14】翻訳・通訳学科卒業者が出版社で翻訳業務の仕事をする

翻訳・通訳学科で通訳概論、言語学、通訳演習、通訳実務、翻訳技法などを履修した方が、日本の出版社において出版物の翻訳業務を担当することになり、ビザを申請した結果、許可が下りました。

許可が認められた理由についての当事務所の見解

「技術・人文知識・国際業務」ビザの申請では、職務内容を「翻訳・通訳」とするケースが多く見られます。 しかし、専門学校卒業者の場合、単に翻訳・通訳を希望するだけではなく、実際に学校で翻訳・通訳に関連する専門的な学習を行っていることが求められます。

本事例では、申請者が翻訳・通訳に必要な知識を専門的に学び、それを活かせる職務内容であったため、ビザの許可が認められたと考えられます。

  1. 専門学校での履修内容と翻訳業務の関連性が認められた
    • 「通訳概論」「通訳演習」「翻訳技法」などの履修科目は、翻訳・通訳業務に直結する専門知識であり、職務内容と明確な関連性があると判断された。
    • 「言語学」の履修も、翻訳業務に必要な言語構造の理解を深めるものであり、職務に活かせる要素として評価された可能性が高い。
  2. 翻訳業務に十分な業務量があることが確認された
    • 翻訳・通訳の業務内容は、「技術・人文知識・国際業務」ビザの適用対象であるが、専門学校卒業者の申請では、就職先に十分な翻訳・通訳業務があるかどうかが厳しく審査される傾向にある。
    • 本事例では、申請者が出版社で翻訳業務に従事することが明確であり、業務の専門性が認められたため、許可が得られたと考えられる。

注意点:日本語科目の履修が翻訳・通訳の専門教育と見なされない場合がある

本事例のように、「翻訳・通訳」業務での申請を検討する場合、専門学校での日本語の履修内容が翻訳・通訳業務に必要なレベルであるかが審査のポイントとなります。

  • 履修した「日本語」関連の科目が、単なる語学基礎(会話・読解・聴解・漢字学習など)に留まる場合は、翻訳・通訳に必要な科目として認められない。
  • 留学生が自身の専門分野で必要な専門用語を学ぶための日本語科目の場合も、翻訳・通訳専門の学習とはみなされず、許可が難しくなる可能性がある。
  • 専門課程において、日本人学生が免除されているような初級レベルの日本語科目は、翻訳・通訳の専門教育とは認められないため注意が必要。

許可を得るためのワンポイントアドバイス

  1. 学んだ内容と業務内容の関連性を証明する
    • 専門学校で履修した「通訳概論」「翻訳技法」などの科目が、実際の翻訳業務に活かされることを証明する資料(成績証明書、カリキュラム詳細など)を準備する。
    • 企業の職務内容説明書や業務計画書を用意し、業務内容が翻訳業務に関するものであることを明確に示す。
  2. 翻訳・通訳業務に十分な業務量があることを証明する
    • 出版社などの就職先で、翻訳業務が継続的に発生することを明確にする。
    • 翻訳業務が申請者の主業務であり、雑務や補助業務ではないことを証明するため、雇用契約書や業務内容詳細書を準備する。
  3. 履修した日本語科目の専門性を明確にする
    • 日本語の履修科目が、単なる語学習得ではなく、翻訳・通訳に必要な高度な言語技術の習得を目的としていることを説明する。
    • 翻訳業務に役立つ専門的な日本語教育を受けたことを証明するため、該当科目のシラバスや教材の内容を提出する。

許可事例15】国際ビジネス学科卒業者が商社の海外事業部で通訳・翻訳業務に従事する

国際ビジネス学科で貿易論、マーケティングなどの経営学に関する科目を中心に履修しながら、ビジネス通訳実務、ビジネス翻訳実務、通訳技巧などの翻訳・通訳に特化した科目も専門科目として履修した方が、日本の商社の海外事業部で、商談の通訳および契約資料の翻訳業務に従事することになり、ビザを申請した結果、許可が下りました。

許可が認められた理由についての当事務所の見解

通常、「技術・人文知識・国際業務」ビザの申請では、専門学校で学んだ学科と職務内容との関連性が厳しく審査されます。 本事例では、国際ビジネス学科卒業者が翻訳・通訳業務に従事するため、一見すると関連性がないように見えますが、ビザの許可が得られています。

その理由として、申請者が翻訳・通訳に関する専門的なカリキュラムを多数履修していたことが挙げられます。

  1. 翻訳・通訳に関する履修内容が専門的であると判断された
    • 本事例では、申請者が「ビジネス通訳実務」「ビジネス翻訳実務」「通訳技巧」などの科目を専門的に履修しており、翻訳・通訳業務に必要な知識を十分に学んでいることが認められた。
    • 単に「国際ビジネス学科」という名称だけで翻訳・通訳業務との関連性が認められるわけではなく、履修内容が実際に翻訳・通訳に直結していることが重要。
  2. 履修内容と職務内容の関連性が実質的に判断された
    • 専門学校で学んだ内容と職務内容の関連性は、学科名ではなく、実際の履修内容で判断される。
    • 本事例では、翻訳・通訳に関する科目を多く履修していたため、国際ビジネス学科卒業であっても、翻訳・通訳業務との関連性が認められたと考えられる。
    • 逆に、同じ国際ビジネス学科を卒業していても、翻訳・通訳関連の履修が少ない場合は、ビザの許可が下りない可能性が高い。

注意点:学科名だけでは翻訳・通訳業務との関連性は認められない

本事例では、「国際ビジネス学科」という学科名だけを見ると、翻訳・通訳業務との関連性が薄いように見えます。 しかし、履修内容を詳しく確認すると、翻訳・通訳に関する専門的な授業を多数受けていたことが分かり、それが許可につながったと考えられます。

そのため、以下の点に注意する必要があります。

  • 「国際ビジネス学科卒業=翻訳・通訳業務に適している」とは限らない。
  • 履修内容に翻訳・通訳関連の科目が十分に含まれていることが、許可を得るための重要な要素となる。
  • 翻訳・通訳関連の履修が少ない場合、職務内容との関連性が認められず、不許可になる可能性がある。

許可を得るためのワンポイントアドバイス

  1. 履修内容と職務内容の関連性を証明する
    • 専門学校で履修した「ビジネス通訳実務」「ビジネス翻訳実務」などの科目が、実際の翻訳・通訳業務に活かされることを示す資料(成績証明書、カリキュラム詳細など)を準備する。
    • 企業の職務内容説明書や業務計画書を用意し、業務内容が翻訳・通訳業務に関するものであることを明確に示す。
  2. 翻訳・通訳業務に十分な業務量があることを証明する
    • 商社の海外事業部において、翻訳・通訳が主要業務であることを明確にする。
    • 翻訳・通訳業務が単なる補助的な作業ではなく、継続的に発生する重要な業務であることを示すため、雇用契約書や業務内容詳細書を準備する。
  3. 履修内容の専門性を明確にする
    • 翻訳・通訳に関連する授業が、単なる語学習得ではなく、実務に直結する専門的な内容であることを説明する。
    • 履修した翻訳技法や通訳実務の授業内容を示すため、該当科目のシラバスや教材の内容を提出する。

許可事例16】国際教養学科卒業者が渉外調整業務において通訳を担当する

国際教養学科で経営学、経済学、会計学、日本語、英語、ビジネス文書、ビジネスコミュニケーション、文章表現などを履修し、合計70単位中30単位(約4割)を言語・コミュニケーション関連の科目で取得した方が、日本の企業において渉外調整業務の際の通訳を担当することになり、ビザを申請した結果、許可が下りました。

許可が認められた理由についての当事務所の見解

申請者は日本語能力試験(JLPT)N1に合格しており、これも審査の際に評価された要素となったと考えられます。

一般的に、「技術・人文知識・国際業務」ビザの通訳業務においては、申請者が専門的な翻訳・通訳の教育を受けていることが重要なポイントとなります。本事例では、「国際教養学科」の名称だけを見ると、通訳業務との関連性が薄いように見えますが、実際には履修科目の多くが言語・コミュニケーション分野であったことから、専門性が認められたと考えられます。

  1. 履修単位の大部分が通訳業務に関連していると認められた
    • 70単位中30単位(約4割)を「日本語」「英語」「ビジネス文書」「ビジネスコミュニケーション」「文章表現」など、言語スキルやコミュニケーションに関する科目が占めている。
    • これにより、学科名だけではなく、実際の履修内容が通訳業務に直結していると判断された可能性が高い。
  2. 日本語能力試験N1の取得が評価された
    • 翻訳・通訳業務において、日本語能力試験(JLPT)N1の取得は、特に留学生にとって非常に高く評価されるポイントである。
    • ただし、本事例と同じようにN1を取得していない場合でも、通訳業務の実務経験や、履修した科目の内容によっては許可が得られるケースもある。実際に当事務所でも、日本語能力試験N2の方で許可が出た事例がある。

注意点:学科名だけでは通訳業務との関連性が認められない可能性がある

本事例では、「国際教養学科」という学科名だけを見ると、通訳業務との関連性が明確でないように見えます。 しかし、履修内容を詳しく見ると、言語・コミュニケーション分野の科目を多数履修しており、実質的に通訳業務に直結する教育を受けていることが認められたため、ビザの許可が得られたと考えられます。

そのため、以下の点に注意する必要があります。

  • 「国際教養学科卒業=通訳業務に適している」とは限らない。
  • 履修内容に翻訳・通訳関連の科目が十分に含まれていることが、許可を得るための重要な要素となる。
  • 翻訳・通訳関連の履修が少ない場合、職務内容との関連性が認められず、不許可になる可能性がある。

許可を得るためのワンポイントアドバイス

  1. 履修内容と業務内容の関連性を証明する
    • 専門学校や大学で履修した「ビジネス文書」「ビジネスコミュニケーション」などの科目が、実際の通訳業務に活かされることを示す資料(成績証明書、カリキュラム詳細など)を準備する。
    • 企業の職務内容説明書や業務計画書を用意し、業務内容が通訳業務に関するものであることを明確に示す。
  2. 通訳業務に十分な業務量があることを証明する
    • 企業内で通訳業務が継続的に発生することを明確にする。
    • 通訳業務が申請者の主業務であり、単なる補助業務ではないことを証明するため、雇用契約書や業務内容詳細書を準備する。
  3. 履修内容の専門性を明確にする
    • 言語学習科目の履修が、単なる語学習得ではなく、通訳の実務に直結するものであることを説明する。
    • 履修した通訳技法やビジネス文書作成の授業内容を示すため、該当科目のシラバスや教材の内容を提出する。

専門学校卒業者が「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得する際、審査の難易度が高いケースでは、より詳細な証明や追加資料の提出が求められることがあります。

本ページでは、職務内容と学んだ内容の関連性が判断しにくいケースや、審査が厳しくなるパターンについて詳しく解説しました。


🌟 専門学校卒業者の「技術・人文知識・国際業務」ビザ取得成功のカギとは?

このビザの許可を得るには、学歴と業務内容の適合性を明確にし、審査官の重視するポイントを押さえることが重要です。申請時の書類準備や説明の仕方によっては、不許可となる可能性もあるため、慎重な対応が求められます。
しかし、情報を得ようとしてもインターネットの情報は最新とは限らず、それを基にするAIはビザ申請のような専門的な手続きには不向きです。

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