就労ビザの雇用理由書には何をどのように書けば良いのか

就労ビザの申請では、法務省や入管の公式サイトに記載されていない補足書類を提出しなければならない場合があります。なかでも「雇用理由書(採用理由書・申請理由書)」は、提出を求められることが多い重要な書類の一つです。

しかし、この書類には決まった書式がなく、どのような内容をどのように記載すればよいのか分からず、悩む方も少なくありません。

「ネットの情報を参考に自分で作ってみたけど、これで本当に通るのか不安」「記載ミスや説明不足で不許可になるのでは」と感じている方も多いのではないでしょうか。雇用理由書の内容は、審査官に対する説得力に直結するため、形式だけでなく中身が極めて重要になります。

そこでこの記事では、外国人の採用を検討している企業の採用担当者の方に向けて、就労ビザの審査で押さえておくべき雇用理由書の構成要素や記載時の注意点を解説します。

なお、具体的な文例は掲載していません。申請者ごとに状況が異なり、個別対応が求められるからです。就労ビザの申請をご自身で行う場合には、本記事を通じて雇用理由書の基本的な考え方を理解し、自社の状況に即した内容で作成するようにしてください。

ただし、雇用理由書の作成は申請者の状況に合わせて内容を調整する必要があるため、経験のない方にとってはハードルの高い書類といえます。入管への問い合わせは電話がつながりにくく、申請当日は長時間待たされることもあります。
調べものや手続きにかかる時間と労力を考えると、安心して進めるためには、専門家のサポートを受けることも有効な選択肢の一つです。

当事務所では、雇用理由書の作成から就労ビザ全体の書類作成・申請代行まで幅広くサポートしています。「採用したい外国人がいるが、書類が心配」と迷われた際は、どうぞお気軽にご相談ください。

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1️⃣ そもそも理由書とは?

「雇用理由書」とは、会社が外国人を採用する理由を説明する書類です。
ただし、単に採用の経緯や動機を述べるだけでは、ビザ申請における雇用理由書としては不十分です。

入管審査で求められる雇用理由書は、いわゆる一般的な「採用理由書」とは意味が異なります。

📌 ビザ申請と理由書の重要性

ビザ申請は原則として書面審査で行われます。一部の例外を除き、面接などの直接説明の機会は設けられません。そのため、提出書類を通じて、審査官に申請者がビザ取得の条件を満たしていることを明確に伝える必要があります。

特に審査官の裁量が許可・不許可の判断に大きく影響するため、十分に配慮された書類を用意することが非常に重要です。このとき、雇用理由書は審査官に申請者の適格性を説明するための補足資料として活用されます。

つまり、理由書は単なる採用理由の説明書ではなく、申請者がビザ取得の条件を満たしていることを補足・説明するための重要な資料です。内容を充実させることで、審査をスムーズに進めてもらうためのサポートとなります。

雇用理由書の基本的な形式

  • 分量:A4サイズで1~2枚程度
    ※必要以上に長く書く必要はありません。
  • 内容:簡潔かつ明確に、必要な事項をわかりやすく記載。

2️⃣ 就労ビザ申請の際に審査官は何を確認しているのか

次に、就労ビザ申請の際に審査官は何を確認するのかについて記載します。審査の際、審査官が重視し、確認するのは主に以下の内容になります。

📌【審査官が審査で重視する点】

  1. 雇用する会社の事業が実際に行われ、その活動が安定しているか
  2. 給与や労働時間などの採用条件が適切か
  3. 申請人の学歴や経歴がビザ取得の条件を満たしているか
  4. 採用後の業務内容が適切であり、申請した職務内容に十分な業務量があるか
  5. 納税義務や届け出義務など、これまでの在留状況が良好であるか

以下、それぞれについて詳しく見ていきます。

1.雇用する会社の事業が実際に行われ、その活動が安定しているか

審査官は、雇用する会社の事業活動の実在性・安定性を以下の項目から判断します。

  • 会社の創業年数
  • 資本金
  • 従業員数
  • 決算報告書の内容

会社の事業活動が不安定な場合、そこで働く外国人の生活も不安定になるリスクがあります。最悪の場合、生活保護などの公的支援を必要とする可能性もあるため、入国管理局は雇用先企業の安定性を慎重に審査します。

なお、会社のホームページがない場合には、事業活動の実在性が疑われることがあり、審査が非常に厳しくなる傾向があります。

2.給与や労働時間などの採用条件が適切か

採用条件が適切であるかどうかについては、同じ職務内容の日本人と同等の待遇が提供されているかを確認します。これは外国人が不当に冷遇されていないかをチェックするためです。

一般的に、月収が20万円を超えていれば問題ないと判断されることが多いですが、注意が必要です。同じ会社で同じ職務に従事する日本人よりも報酬が低い場合、将来的にビザの更新が難しくなる可能性があります。

また、労働基準法に適合した雇用条件かどうかも、審査の対象となります。

3.申請人の学歴や経歴がビザ取得の条件を満たしているか

例えば、「技術・人文知識・国際業務」ビザの場合、以下の条件が求められます。

  • 職務内容に関連する分野を大学や専門学校で学んでいること
  • 学校を卒業していない場合は、10年以上の実務経験が必要。

審査官は、提出された書類をもとに、これらの要件を満たしているかを確認します。
この点は、インターネットで情報を得やすいため、意識されている申請者も多く見受けられます。

しかし、一部の情報が誤解を招くこともあり、実際には誤った理解のまま申請されているケースも少なくありません。十分にご注意ください。

4.採用後、申請人が就く業務内容が適切であり、申請した職務内容での業務量が十分にあるか

就労ビザには、それぞれの種類ごとに対応できる業務内容が決められています。例えば、「技術・人文知識・国際業務」ビザの場合、単純労働は認められません

また、外国人を採用する場合は以下の点が重要です。

  • 業務内容を明確に決めてから採用すること
    (日本人を採用する際とは手順が異なります)
  • 採用後に職務内容を変更することはできないため、慎重な計画が必要。

新卒の日本人を採用する場合のように、入社後に業務内容を決める形とは異なる点にご注意が必要です。

さらに、申請した職務内容に対して業務量が十分にあるかも審査されます。例えば以下のケースでは不許可になる可能性があります。

  • 通訳として採用したものの、来客件数が少ない場合。
  • システム開発を職務内容として申請したが、従業員数が少なく開発体制が整っていない場合。

十分な業務量がない場合、入国管理局は申請された業務以外の活動を行っている可能性を疑うことがあります。
特に、単純労働などの許可されていない活動に従事していると判断されると、不許可となる可能性が高くなります。

5.納税義務や届け出義務等のこれまでの在留状況は良好か

納税義務の履行や届け出義務の遵守は、特に審査で厳しく見られるポイントです。以下の場合、在留状況が「好ましい」とは判断されません。

  • 納税義務を怠っている。
  • 資格外活動許可でのアルバイトで、週28時間の制限を超えて働いている。
  • 届け出義務を怠っている。

近年、これらの履行状況が厳しくチェックされる傾向が強まっています。過去の在留状況が良好でない場合、審査が厳しくなるため注意が必要です。

以上のような点を審査官は提出書類を通じて確認します。



したがって、理由書ではこれらのポイントを適切に説明し、審査官に申請者にビザを交付しても問題がないと判断してもらうことが重要です。
理由書の作成にあたっては、この点を意識して内容を充実させる必要があります。

 ー注意 ー
AIやGoogle検索、自動翻訳を含むネット上の情報は、古い内容や不正確な記載、表現の違いによって誤解が生じる場合があります。
必ず最新の公式情報を確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが大切です。

【雇用理由書でお困りの担当者さまへ

雇用理由書の採用背景や職務内容の整理が不十分だと、審査が長引いたり不許可につながることもあります。審査官に伝わる雇用理由書の作成を専門家がサポートます。

まずは無料相談でご不安な点や現在の状況を整理してみてください。

📍 初回相談無料(メール1–2往復/オンライン相談30分)|1–2営業日以内に返信

ご希望があれば、雇用理由書の作成から申請手続きまで一貫してサポートします。

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3️⃣ 理由書にはどのようなことを書けば良いのか

次に、理由書に何を記載すればよいかについて説明します。
前述のとおり、理由書には入国管理局が重視するポイントを中心に記載することが重要です。以下では、当事務所が雇用理由書を作成する際に盛り込んでいる主な項目を具体的に紹介します。

なお、繰り返しになりますが、インターネット上で見かける理由書のテンプレートをそのまま使用することはお勧めしません。

汎用的な文面を流用すると、かえって審査官の心証を損ね、不許可となるリスクが高まる恐れがあります。いわば、ネットで拾ったエントリーシートをそのまま使うようなものです。
利用する場合でも、内容を何度もブラッシュアップする必要があります。

また、AIの使用も同様の理由で注意が必要です。状況に合った文章を生成させるには、かなり詳細な指示(コマンド)を組む必要があります。ただし、文章の校正や表現の整理には非常に有用です。

■申請人について

まずは申請人の基本情報を記載します。

(申請人)

  • 氏名
  • 国籍
  • 生年月日

記載内容は、必ずパスポートに記載されている情報と一致させてください。特に、ミドルネームのある方などは注意が必要です。審査官が他の資料を参照せずとも、誰の資料であるかを一目で確認できるようにすることが重要です。こうした細かい配慮が審査官の心証を良くします。

■所属機関について

次に、勤務先の会社情報を記載します。

  • 会社名
  • 事業内容
  • 設立年月日
  • 資本金
  • 会社HPのURL

さらに、事業内容について少し詳しく記載します。審査官は、勤務先の事業内容が申請人の職務内容と適切に関連しているかを確認します。



この際、専門用語はできるだけ避け、簡潔でわかりやすい表現を心がけましょう。また、会社パンフレットと記載内容を一致させることが重要です。

会社の安定性を示すため、直近の売上を記載すると良いでしょう。この売上情報は、提出する決算報告書の数字と一致させてください。

■申請人の採用条件、業務内容

申請人の採用条件を以下のように記載します。

  • 役職
  • 職務内容
  • 就労予定期間
  • 報酬の額

職務内容の表現は、申請書や雇用契約書の内容と一致させてください。正社員のような就労予定期間を定めていない場合は、「期限の定めなし」と記載します。また、配属予定の部署や勤務地も具体的に記載しましょう。

職務内容はできる限り具体的に記載してください。この記載が不明瞭である場合、「職務内容説明書」の追加提出を求められる可能性があります。職務内容の記載は、理由書の中で最も重要な部分です。

■申請人の採用理由

採用までの経緯を説明し、申請人の学歴や経歴が業務内容に適切であることを強調します。以下の点を記載すると効果的です。

  • 業務量が十分にあることを示す。
  • 日本語能力試験(JLPT)のN1またはN2取得がある場合は必ず記載。
  • 外国人スタッフが必要である理由を明確に。
    (例)「特定の言語や文化的背景が求められる業務」など

また、会社が住居探しや手続きサポートを提供している場合、その旨を記載すると審査官の心証が良くなる場合があります。

■これまでの在留状況

申請人のこれまでの在留状況について記載します。具体的には以下を確認してください。

  • 納税義務などの公的義務を果たしているか。
  • 所属機関変更の届出などを期限内に行っているか。

もし期限内に届出が行えなかった場合、その理由を説明することが重要です。

■まとめ部分

最後に、文末を以下のように締めくくります。

「それでは〇〇申請をお認め下さいますよう、心よりお願い申し上げます。」

これで雇用理由書は完成です。本ページがお役に立てれば幸いです。

最後に――雇用理由書の作成でお困りのことはありませんか?

外国人を雇用するうえで避けて通れない「雇用理由書」は、就労ビザ審査の合否を左右する重要書類です。曖昧な記載や構成ミスがあると、不許可につながる恐れもあります。

✅ 雇用理由書の書き方がわからない
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