外国人を通訳・翻訳で雇用するには?必要なビザと許可の条件を解説

近年は中小企業でも海外取引が一般化し、語学対応のできる人材の確保がますます重要になっています。当事務所にも「海外工場とのやり取りを正確に通訳できる人材を採用したい」といったご相談が増えており、通訳・翻訳業務での外国人採用への関心が高まっています。

一方で「語学力があるならそのまま採用できるのでは」「ビザの申請は本人任せで問題ないだろう」と考える企業も少なくありません。外国人が通訳・翻訳の業務に就くには、該当する就労ビザ(例:技術・人文知識・国際業務)を適切に取得している必要があります。要件を満たしていなければ、採用しても就労できないことがあるため、事前の確認は欠かせません。

本記事では、こうしたニーズに応え、外国人採用を検討する企業の採用担当者の方に向けて、通訳・翻訳業務で採用する際に必要な在留資格の選び方、審査で重視されるポイントや注意点を丁寧に解説します。

申請を検討している方にとって、判断の参考となる内容をまとめていますが、調べたり準備を進める中で不安を感じた場合は、どうぞお気軽にご相談ください。当事務所では、「いきなり依頼するのは不安」という方のために、まずはお試しとして初回無料相談(詳細はこちら)を実施しています。不安を整理し、正しい進め方を確認する第一歩として、ぜひご利用ください。

1️⃣ 翻訳・通訳業務の場合、どの種類のビザが必要になるのか

就労ビザには「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「企業内転勤」「経営・管理」「技能」など多くの種類がありますが、翻訳・通訳業務に該当するビザは基本的に「技術・人文知識・国際業務」に分類されます。

この在留資格は、いわゆるホワイトカラー業務を対象としており、外国人がこれまでに学んだ知識や仕事を通じて培った経験、または母国の文化や言語に基づく専門性を必要とする業務に従事する場合に適用されます。

翻訳・通訳業務は、この「技術・人文知識・国際業務」のうち、主に「国際業務」に該当します。入管法上、「国際業務」とは「外国の文化に基盤を有する思考や感受性に基づき、一定水準以上の専門的能力を必要とする業務」と定義されています。

ただし、大学で日本語を専攻している場合など、履修内容や職務内容によっては「人文知識」のカテゴリーで判断されるケースもあります。

🔗 関連記事:外国人を雇用するには?就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の取得条件とポイント

2️⃣ ビザの取得にはどのような条件があるのか

「技術・人文知識・国際業務」のうち国際業務に該当する場合、原則として「翻訳・通訳業務に関する3年以上の実務経験」が求められます。



ただし、大学を卒業している場合は、この実務経験が不要となる可能性があります。ここでの「大学」とは、日本国内の大学だけでなく、海外の大学も含まれます。

なお、大学を卒業しているだけでビザ取得が自動的に認められるわけではありません。
大学卒業者の場合、日本語に関する履修内容が含まれていることが望ましく、特に海外の大学を卒業した場合、日本語に関する単位を一切取得していないと許可が難しいケースがあります。

日本の大学であっても、日常会話などの基礎的な授業内容では「日本語を学んだ」とはみなされない点に注意が必要です。

📌 日本語能力の証明が必要

入国管理局は、条件をクリアしているかだけでなく、申請者が職務内容を実際に遂行できるかどうかも審査します。そのため、翻訳・通訳業務で「技術・人文知識・国際業務」を取得する際には、以下のような日本語能力を証明する資料が求められることがあります。

  • 日本語能力試験(JLPT)のN1またはN2の合格証明書
  • BJTビジネス日本語能力テストでJ1評価

これらの資料があると、申請がスムーズに進む可能性が高まります。

専門学校卒業者の場合

専門学校を卒業している場合でも、翻訳・通訳業務で「技術・人文知識・国際業務」を取得できるケースがあります。

例えば、翻訳・通訳に特化した専門学校を卒業した場合や、国際ビジネス学科で貿易論やマーケティングなどの経営学科目を中心に履修しつつ、翻訳・通訳に関する科目も修得している場合です。

これらの場合、申請者は「技術・人文知識・国際業務」の「人文知識」の条件を満たしていると認められる可能性があります。「人文知識」は、職務内容が専門学校で学んだ内容を活用する場合に認められるためです。

既に「技術・人文知識・国際業務」を取得している場合

既に「技術・人文知識・国際業務」で他社に勤めている場合、転職時には新たにこのビザを取得する必要はありません。転職先への「所属機関に関する届出」を行うだけで済みます。

ただし、在留資格の更新時には実質的に新規取得時と同様の審査が行われるため、転職後の更新をスムーズに進めるには「就労資格証明書」を取得しておくことをお勧めします。

🔗 関連記事:➡ ビザ申請に関する手続き(7)就労資格証明書交付申請

【通訳・翻訳職で外国人を採用予定のご担当者さまへ】
通訳・翻訳職のビザ申請は、業務内容と学歴・経歴の整合性が重視され、要件を誤ると不許可のリスクもあります。採用スケジュールが進む前に、早めに方針を整理しておくことで、審査遅れや追加書類対応を防げます。条件の確認から書類の準備・申請対応まで、すべて専門家が代行。忙しい担当者さまでもスムーズに採用が進められます。

💡 初回相談無料(メール1–2往復/オンライン相談30分)|1–2営業日以内に返信

迷っている段階の方も、お気軽にご相談ください。不安な点を整理し、現在の状況と必要な対応を確認できます。ご希望があれば、そのまま申請代行までお任せいただけます。

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迷っている段階の方も、お気軽にご相談ください。不安な点を整理し、現在の状況と必要な対応を確認できます。ご希望があれば、そのまま申請代行までお任せいただけます。

 ー⚠️ 注意 ー

  • インターネット上で紹介されている書類一覧や、出入国在留管理局のWebサイトに掲載されている情報は、あくまで最低限の目安です。実際の申請では、申請人の状況に応じて様々な書類が求められます。
  • ネット上には古い情報や不正確な内容も多く、一般的な情報だけを参考にすると誤った判断につながるおそれがあります。正しい情報かどうかを見極めるには、一定の専門知識や最新の入管制度に関する理解が必要です。
  • AIの回答はインターネット上の情報をもとに生成されるため一部に誤りを含むことが多く、完全な誤情報よりも見抜きにくい点に注意が必要です。安心して申請を進めるためにも、必ず最新の公式情報や専門家の確認を行うことが大切です。

🔗 関連記事:➡ ビザ申請でAIやインターネットの情報を信用しすぎるリスク

3️⃣ 通訳・翻訳業務で外国人の方のビザ申請をする際に注意すべきポイント

通訳・翻訳業務で外国人の方のビザ申請をする際には、いくつかの重要な注意点があります。以下に、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

会社の業務での通訳・翻訳の必要性を理由書で説明する

通訳・翻訳業務で「技術・人文知識・国際業務」を申請する場合、会社の事業活動に通訳・翻訳業務が必要であることを明確に示す必要があります。外国人顧客がほとんどいない会社では、この在留資格での申請が認められる可能性は非常に低いです。

特に、「技術・人文知識・国際業務」を国際業務として申請する場合、学校で学んだ内容と職務内容の関連性は必須ではありません。そのため、抜け道として利用されないよう、通訳・翻訳業務の必要性については慎重に審査が行われます。

このような場合、「雇用理由書」を提出することが重要です。会社の事業活動に通訳・翻訳業務がどのように必要であるかを詳細に説明することで、審査をスムーズに進めることができます。

もし理由書を提出しなかった場合、追加資料として理由書の提出を求められ、審査が一時停止する可能性があります。審査の時間を短縮するためにも、事前に理由書を準備しておくことをおすすめします。

通訳・翻訳業務に十分な業務量があることを説明する

通訳・翻訳業務に十分な業務量があることも審査の重要なポイントです。業務量が不十分な場合、申請者が通訳・翻訳以外の単純労働に従事するリスクがあると判断され、不許可となる可能性があります。「技術・人文知識・国際業務」では、専門性を必要としない単純労働は認められません。

近年、この点の審査基準は厳しくなる傾向にあります。そのため、「雇用理由書」において、通訳・翻訳業務の必要性だけでなく、十分な業務量があることについても具体的に説明することが求められます。「理由書が重要」とされるのは、このように業務の必要性や量を審査でしっかり証明するためです。

報酬の額が日本人の額と同等以上であることが必要

「技術・人文知識・国際業務」を含む就労系在留資格では、報酬が日本人と同等以上であることが法律で求められています。これは、外国人労働者が不当に低い賃金で雇用されることを防ぐための措置です。

報酬額に問題がある場合、即座に不許可となる可能性が高いため、ビザ申請の前に雇用契約を結び、適正な報酬を設定することが重要です。報酬額は雇用契約書で確認されますが、申請時に日本人社員の雇用契約書を提出して証明する必要はありません。

一般的には月額20万円以上の報酬が基準とされますが、同じ仕事内容を行う日本人社員よりも明らかに低い場合、後に問題となることもあります。外国人雇用時の報酬設定は、慎重に行うよう注意が必要です。

4️⃣「日本人の配偶者等」の身分系在留資格をお持ちの方を採用する場合

ここまでは、通訳・翻訳業務で外国人の方を雇用する際に新たにビザを取得する場合について解説しました。

しかし、「日本人の配偶者等」のような身分系在留資格をお持ちの方を採用する場合は、日本人とほぼ同じ手続きで就労を開始することが可能です。

「日本人の配偶者等」とは、日本人の方と結婚している外国人の方が取得できる在留資格です。この在留資格には就労制限がないため、別途ビザを取得する必要はなく、通訳・翻訳業務をすぐに始めることができます。

🔗 関連記事:結婚ビザ(日本人の配偶者等)の取得条件とは?

「永住者」や「定住者」の在留資格をお持ちの方も同様に就労制限がないため、採用にあたり追加の手続きは不要です。

⚠️ 身分系在留資格の注意点

身分系在留資格は、雇用手続きが簡単な反面、その身分が失われると在留資格も同時に失うリスクがあります。

例えば、「日本人の配偶者等」の場合は離婚すると在留資格を失います。「永住者」の場合は、取消し決定を受けた場合などに資格を失う可能性があります。



このような場合、少なくとも6ヶ月以内に日本を出国するか、他の在留資格への変更申請を行う必要があります。

身分系在留資格は、会社とは無関係な個人的な事情により失効する可能性がある点に注意が必要です。採用時には、このリスクについて理解しておくことが重要です。

外国人雇用時の届出義務について

外国人を雇用した場合、雇用保険の加入や外国人雇用状況届出書の提出が必要です。



「日本人の配偶者等」の在留資格をお持ちであっても、日本国籍を取得していない限り、法律上は外国人として扱われます。そのため、日本人と結婚している外国人を雇用する場合でも、外国人雇用状況届出書の提出が必要となります。

ただし、雇用保険に加入している場合は、外国人雇用状況届出書を提出したものとみなされるため、実務上、この点が問題になることはほとんどありません。



一方で、雇用保険に加入しないアルバイトなどの場合には、外国人雇用状況届出書を個別に提出する必要があるため、この点には十分注意してください。

最後に――通訳・翻訳業務で外国人を雇用する際、職務内容の説明にお困りではありませんか?

通訳・翻訳業務で外国人を雇用するには、「業務内容が在留資格の基準に適合しているか」を丁寧に説明する必要があります。曖昧な職務内容や書類の不備は、不許可の原因になることがあります。

✅ 対象業務でどの在留資格が使えるのかわからない
✅ 審査官に伝わる職務内容の説明に不安がある
✅ 不許可リスクを減らしたい

このようなお悩みがある方は、下記の「お問い合わせ」から無料相談をご利用ください。現在の状況を確認し、個別の事情に応じて許可の見通しや申請手続きの流れを丁寧にご案内します。

ご相談後、そのまま申請代行をご依頼いただくことも可能です。ご依頼いただければ、必要書類リストの提示から申請書・理由書の作成、入管とのやり取りまで一括してサポートいたします。不許可リスクを減らし、準備の負担を大幅に軽減できるため、安心して本業に専念いただけます。

💡 初回相談無料(メール1–2往復/オンライン相談30分)|1–2営業日以内に返信|オンライン相談は土日祝も対応

不安なままにせず、今の状況を整理しておきましょう。
迷っている方も、まずはお気軽にご相談ください。


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