受入れ機関と登録支援機関の役割とは?

受入れ機関とは、特定技能ビザで外国人を雇用する企業や個人事業主を指します。 受入れ機関として外国人を採用する際には、一定の基準を満たす必要があり、その中でも特に重要なのが「支援計画」の作成と実施です。

支援計画には、長時間の事前ガイダンス、生活オリエンテーション、定期的な面談の実施など、特定技能ビザで働く外国人が日本で安心して生活し、就労できるようサポートする内容が求められます。しかし、これらの支援業務は専門的な知識と多大な労力を必要とするため、受入れ機関がすべてを適切に実施することは現実的に難しいケースが多くなっています。

そこで、出入国在留管理庁から登録を受けた「登録支援機関」が設けられています。登録支援機関は、受入れ機関に代わって支援計画の作成および実施を行う専門機関であり、特定技能ビザでの外国人雇用をサポートする重要な役割を担っています。

多くの企業では、負担を軽減し、適切な支援を確保するために登録支援機関に支援計画の実施を委託しているのが実情です。特定技能ビザで外国人を雇用する際には、受入れ機関としての責務を理解し、必要に応じて登録支援機関の活用を検討することが重要です。

受入れ機関に求められる要件と義務

特定技能ビザで外国人を雇用する受入れ機関には、一定の基準を満たすことが求められます。具体的には、以下のような要件が定められています。

✅受入れ機関が満たすべき基準

  1. 雇用契約の適正性
    • 外国人労働者と締結する雇用契約が、日本人と同等以上の報酬額であること。
    • 労働基準法や最低賃金法など、日本の労働法令を遵守していること。
  2. 受入れ機関の適正性
    • 5年以内に出入国管理や労働関連の法令違反がないこと。
    • 企業として適切な運営がされていること。
  3. 外国人支援体制の確保
    • 外国人が理解できる言語を話せるスタッフを配置するなど、適切な支援体制を整えていること。
    • 生活オリエンテーションや定期面談などの支援を実施できること。
  4. 支援計画の適正性
    • 受入れた外国人が円滑に日本で生活・就労できるように、適切な支援計画を策定し実施すること。

なお、これらの要件のうち「外国人支援体制の確保」と「支援計画の適正性」については、登録支援機関に委託することも可能です。実際、多くの企業が専門の登録支援機関に業務を委託し、適切な支援を行っています。

📌受入れ機関に課せられる義務

特定技能ビザで外国人を雇用した場合、受入れ機関には以下の義務が発生します。

  1. 雇用契約の適正な履行
    • 外国人労働者との契約内容を遵守し、適正な報酬を支払うこと。
    • 雇用条件の変更がある場合は、適切な手続きを経て対応すること。
  2. 支援計画の実施
    • 生活オリエンテーションの実施や、日本での生活に関する支援を行うこと。
    • 仕事や生活に関する相談を定期的に受け付け、適切なフォローを行うこと。
    • 支援業務を登録支援機関に委託する場合、その適正な実施を管理すること。
  3. 届出義務の履行
    • 出入国在留管理庁への各種届出を適切に行うこと。

義務を怠った場合、外国人の受け入れが制限されるだけでなく、出入国在留管理庁から指導や改善命令を受ける可能性があります。

受入れ機関に課せられる届出義務

受入れ機関には、特定技能外国人の雇用状況や支援状況に関する定期的な届出が義務付けられています。これを怠ると、指導や罰則の対象になるため注意が必要です。

📄随時の届出

  • 特定技能雇用契約の変更や終了、新たな契約の締結に関する届出
  • 支援計画の変更に関する届出
  • 登録支援機関との契約の締結・変更・終了に関する届出
  • 特定技能外国人の受入れが困難になった場合の届出
  • 出入国管理や労働関連法令の違反行為を知った際の届出

📄定期の届出(四半期ごと)

  • 特定技能外国人の受入れ状況に関する届出
    • 受入れ総数や個人情報、活動日数、業務内容など
  • 支援計画の実施状況に関する届出
    • 相談内容や対応結果など(※支援業務を登録支援機関に委託した場合を除く)
  • 特定技能外国人の活動状況に関する届出
    • 報酬の支払状況、離職者数、行方不明者数、受入れに要した費用の額など

登録支援機関とは?役割と選び方のポイント

特定技能ビザで外国人を受け入れる場合、受入れ機関(雇用主)は外国人の日本での就労・生活を支援する義務があります。しかし、支援業務には高い専門性が求められ、業務負担も大きいため、出入国在留管理庁に登録された「登録支援機関」に支援業務を委託することが認められています。

📌登録支援機関の登録要件

登録支援機関として認可を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 支援責任者および支援担当者を選任していること
  • 過去2年以内に中長期在留者(就労資格者)の受入れ実績がある、または外国人に関する業務に従事した経験があること
  • 5年以内に出入国管理や労働関連法令の違反歴がないこと
  • 過去1年以内に特定技能外国人や技能実習生の失踪者を発生させていないこと
  • 外国人が理解できる言語で支援業務を提供できる体制を持っていること
  • 外国人に対して支援業務の費用を負担させないこと

これらの基準を満たさない場合、登録支援機関としての認可を受けることができません。

登録支援機関の支援業務

登録支援機関は、受入れ機関(企業)に代わって以下の支援業務を行います。

  1. 事前ガイダンス(3時間以上)
    • 労働条件や職務内容、日本の労働法の説明
    • 入国手続きや必要な書類の説明
  2. 出入国時の送迎サポート
    • 空港と職場・住居間の送迎
  3. 住居確保・生活基盤整備のサポート
    • 社宅の提供や賃貸契約の支援
    • 銀行口座や携帯電話の契約サポート
  4. 生活オリエンテーション(8時間以上)
    • 日本のルールやマナーの説明
    • 公共機関の利用方法や災害時の対応などの指導
  5. 公的手続きのサポート
    • 社会保険や税務手続きの案内
  6. 日本語学習の機会提供
    • 日本語教室や教材の紹介
  7. 職場・生活の相談対応
    • 外国人が理解できる言語での相談対応
  8. 地域交流の促進
    • 自治体イベントや地域活動への参加支援
  9. 転職支援(雇用契約解除時)
    • 求職活動支援や行政手続きの案内
  10. 定期面談・状況報告
  • 3か月ごとに外国人労働者と面談し、労働環境や生活状況を確認
  • 問題があれば行政機関へ報告

登録支援機関の支援内容違い

登録支援機関の支援内容は、低コスト型・標準型・フルサポート型の3つの主要なタイプに分類できます。それぞれ提供するサービス範囲や対応方法が異なり、企業のニーズやコストに応じて適切な選択が必要です。ここでは、各タイプの支援内容を詳しく解説し、それぞれのメリット・デメリットを踏まえた選び方のポイントを紹介します。

1️⃣低コスト型(費用を抑えたい企業向け)

低コスト型は、最低限の支援を提供しつつ費用を抑えたい企業向けのプランです。主にオンラインや資料提供を中心とした支援が行われるため、企業側がある程度の対応を自社で行う必要があります。

📌【主な支援内容】

  • 事前ガイダンス:オンライン講義や動画提供
  • 生活オリエンテーション:ガイドブックやeラーニング
  • 住居・銀行口座開設支援:必要な情報の提供(手続きは本人が対応)
  • 日本語学習サポート:教材の提供(実際の指導はなし)
  • 定期面談・状況報告:リモート面談、最低限の報告対応

【メリット】

  • 費用が最も安く、1.5万~2.5万円程度/月で利用可能
  • 必要最低限の支援を受けつつ、企業側の負担を減らせる

⚠️【デメリット】

  • 対面でのサポートがほとんどなく、外国人スタッフの適応を企業側がサポートする必要がある
  • 緊急時やトラブル発生時の対応は基本的に企業負担
2️⃣標準型(バランス重視の企業向け)

標準型は、コストと支援内容のバランスを取ったプランです。オンラインと対面の両方を活用し、企業の負担を軽減しながら、外国人スタッフが安心して働ける環境を整えます。

📌【主な支援内容】

  • 事前ガイダンス:対面でのサポート(必要に応じてオンライン対応)
  • 生活オリエンテーション:集合研修の実施
  • 住居・銀行口座開設支援:手続き代行や同行サポート
  • 日本語学習サポート:オンライン学習プログラムの提供
  • 定期面談・状況報告:対面実施、企業との連携を強化

【デメリット】

  • サポート範囲が広く、企業の負担を軽減できる
  • 外国人スタッフの適応を促し、定着率向上につながる
  • トラブル発生時の対応も一定範囲内でカバー

⚠️デメリット

  • 費用は2万~3.5万円程度/月と低コスト型よりも高め
  • 企業側もある程度の対応が求められる(完全なアウトソーシングは不可)
3️⃣フルサポート型(手厚い支援を求める企業向け)

フルサポート型は、受け入れから日本での生活サポート、企業との連携まで一括で支援を提供するプランです。外国人スタッフが安心して働ける環境を整え、企業側の業務負担を最小限に抑えることができます。

📌【主な支援内容】

  • 事前ガイダンス:多言語対応の対面サポート
  • 生活オリエンテーション:実地研修での指導
  • 住居・銀行口座開設支援:同行サポート+手続き代行
  • 日本語学習サポート:対面での個別指導
  • 定期面談・状況報告:通訳付きの企業訪問+報告書作成

【メリット】

  • 企業側の負担が最も少なく、安心して外国人スタッフを受け入れられる
  • 生活面のサポートが充実しており、トラブル発生率が低い
  • 日本語学習や文化適応支援が手厚く、長期雇用につながりやすい

⚠️【デメリット】

  • 費用が3万~5万円程度/月と最も高額
  • 企業側が自社で支援を行いたい場合は不要なサービスが発生する可能性がある

💡登録支援機関の選び方

登録支援機関を選ぶ際には、企業のニーズやコスト、提供される支援内容を総合的に判断することが重要です。

費用を抑えたい場合低コスト型を選択し、企業側で対応できる部分を増やす
バランスの取れた支援を求める場合標準型を選択し、必要な支援のみ外部委託
完全なサポートを希望する場合フルサポート型を選択し、企業負担を最小限に

また、登録支援機関によっては、特定業種に特化したサポートや、外国人材の紹介サービスを兼ねている場合もあります。契約前に支援内容や過去の実績を確認し、自社の業務に最適な機関を選ぶことが大切です。

🔹登録支援機関の支援内容比較表

項目低コスト型標準型フルサポート型
事前ガイダンスオンライン対応対面サポート多言語対応
生活オリエンテーション動画提供集合研修実地研修
住居・銀行口座開設支援案内のみ手続き代行同行サポート
日本語学習サポート教材提供オンライン学習対面指導
定期面談・状況報告リモート面談対面実施通訳同行
費用(月額)1.5万~2.5万円2万~3.5万円3万~5万円

登録支援機関を選ぶ際は、提供される支援内容と費用のバランスを考慮し、自社のニーズに最適なプランを選択することが重要です。具体的なサービス内容については、各登録支援機関のWebサイトで確認することをおすすめします。

まとめ

登録支援機関は、受入れ機関の負担を軽減し、外国人労働者の就労や生活をサポートする重要な役割を担っています。しかし、各機関によって提供される支援内容や費用に違いがあるため、受入れ機関のニーズに合った適切な支援機関を選ぶことが成功の鍵となります。

登録支援機関を選定する際は、自社の求めるサポートレベルと費用のバランスを比較し、最適なプランを選ぶことが重要です。特定技能ビザで外国人を雇用する際には、コスト面だけでなく、サポートの充実度や外国人スタッフの負担軽減も考慮し、適切な登録支援機関を選択しましょう。


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