建設分野における特定技能ビザの上乗せ規制を解説
特定技能ビザは、一定の専門性や技術を持つ外国人労働者を受け入れ、人手不足が深刻な産業を支えるために設けられた制度です。
このビザにより、「技術・人文知識・国際業務」では認められない単純作業を含む実務にも従事できるようになり、実務的な即戦力を求める業種にとって重要な選択肢となっています。

特定技能には「1号」と「2号」がありますが、建設業の現場ではまず特定技能1号から始まるケースが一般的です。特定技能2号は、1号を経て監督的立場に就いた人が対象となるため、ここでは特定技能1号に焦点を当てて解説します。
特に建設分野では、特定技能1号を取得するだけでは不十分で、他分野よりも厳しい「上乗せ規制」が設けられています。 次に、この建設分野における特定技能ビザの追加要件(上乗せ規制)について詳しく見ていきましょう。
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建設分野の特定技能ビザに求められる追加要件(上乗せ規制)
建設業界では、他の業種と比較して労働環境や就労管理の問題が多く、特定技能ビザによる受け入れに際しては、通常の要件に加えて特別な規制(上乗せ規制)が設けられています。
📌 背景:技能実習制度の問題点
特定技能制度が創設される前の1993年にスタートした「技能実習制度」では、建設業界で特に問題が多く発生していました。
- 労働環境の問題:低賃金、残業代の未払い、長時間労働など
- 安全管理の不備:労働災害の多発
- 社会問題の発生:技能実習生の失踪、犯罪への関与、ハラスメント
- 管理不足:一部の監理団体による不適切な監督
国土交通省の資料によると、令和3年の技能実習生の失踪者の54%が建設分野に属し、また建設業の技能実習実施企業の約8割に労働法令違反が発覚しました。
こうした問題を受け、特定技能制度においては、建設業の受入れ企業に対して通常よりも厳格な審査基準が設けられました。
建設分野における上乗せ規制の概要
特定技能外国人を適正に受け入れるために、国土交通省が建設分野特有の追加基準(上乗せ規制)を設けています。建設業は他の業種と比較して労働環境の管理が難しく、労働災害のリスクが高いため、適切な監督・管理体制を整えることが求められます。
この規制は、特定技能外国人の雇用主である受入企業(特定技能所属機関)に対して特別な基準を課すものであり、以下のような要件を満たす必要があります。
1️⃣ 受入企業(特定技能所属機関)に求められる基準
建設分野の特定技能外国人を雇用する企業は、以下の要件を満たさなければなりません。
- 建設業法第3条の許可を取得していること(無許可の企業では受入れ不可)
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録が義務化
- 特定技能外国人受入事業実施法人(JAC)への加入および行動規範の遵守
- 日本人と同等額以上の報酬を支払うこと
- 安定した給与支払いと、技能習熟に応じた昇給制度を確保
- 雇用契約の重要事項を外国人が理解できる母国語で説明
- 受入れ後、国土交通大臣が指定する講習・研修を受講
- 国土交通省または適正就労監理機関(FITS)による巡回指導を受け入れること
これらの要件を満たさない場合、特定技能ビザの許可が下りない、または受入れができなくなる可能性があります。
2️⃣ 建設業特有の労働環境を考慮した措置
建設業界は季節や工事の受注状況による影響を受けやすく、安定した雇用を確保するために特別な措置が取られています。
- 賃金の月給制が義務化(日給制は不可)
- 技能習熟に応じた昇給制度を契約書に明記すること
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録し、現場管理を適正化
特に、賃金の安定支払いと技能向上に伴う昇給制度の義務化は、他業種にはない建設分野独自の要件となります。
3️⃣ 安全管理と日本語能力の要件
建設業は危険を伴う業務が多く、特定技能外国人の安全を確保するための要件が厳格に設定されています。
- 日本語能力試験(JLPT)N4レベル以上の取得が必須
- 日常会話レベルの日本語能力が求められる
- 専門的な建設用語を使用するため、常勤の日本人スタッフによるフォローが必須
- 外国人の受入れ制限あり
- 常勤の日本人スタッフ1人につき、特定技能外国人1人まで
- 企業が適正な労務管理を行うための措置
日本語能力の要件は特に重要であり、現場でのコミュニケーション不足が原因で事故が発生しないよう、適切なサポート体制を整えることが義務付けられています。
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建設分野における適正な就労環境確保のための独自の仕組み
また、建設分野では、外国人が特定技能ビザで働く際の適正な就労環境を確保するために他分野にはない独自の制度が導入されています。
その中心的な仕組みが、業界団体「建設技能人材機構(JAC)」への加入義務です。
この制度により、企業による外国人材の受け入れ体制や支援内容が適切に管理され、建設業界全体としての人材の質と職場環境の向上が図られています。
💡建設技能人材機構(JAC)とは?
特定技能制度の開始に伴い、建設業界全体の適正な雇用環境を確保するため、2019年に「建設技能人材機構(JAC)」が設立されました。JACの役割には以下のものがあります。
- 受入企業の適正な管理
- 外国人技能者の職業紹介(建設業では民間の有料職業紹介は禁止)
- 日本語や技能・安全衛生教育の実施
- 技能試験の運営
- 制度の周知活動・優れた外国人技能者の表彰
建設業の特定技能の業務区分
このように、建設分野では上乗せ規制やJACへの加入義務など、他分野よりも厳しい管理体制が求められています。
しかしその一方で、受け入れ企業や外国人材の負担を軽減するための制度的な配慮も進められています。その代表的なものが、特定技能における業務区分の簡素化です。
建設分野における特定技能の業務区分は、以前は19の細かい区分に分かれていました。しかし、現在では「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3つの大分類に統合され、より柔軟な受け入れが可能になっています。
建設分野の3つの業務区分
🔹 土木工事関連
道路工事、橋梁工事、ダム工事、トンネル工事、河川整備などの公共インフラ整備に関わる業務。
🔹 建築工事関連
建物の新築、改修、解体工事など、住宅・商業施設・工場などの建設に関わる業務。
🔹 ライフライン・設備関連
電気、ガス、水道、空調、給排水などのインフラ設備工事やメンテナンス業務。
✅ 業務区分統合のメリット
この業務区分の統合により、以下のようなメリットが生まれました。
- 業務範囲の拡大
以前は特定技能に含まれない作業がありました、現在では建設業全般の業務が受け入れ可能となりました。 - 柔軟な配置が可能
作業現場ごとに業務区分の制限を受けることなく、必要な業務に従事できるようになりました。 - 特定技能外国人のキャリアアップ
幅広い業務に対応できるようになり、技能の習得・向上の機会が増えました。
このように、建設分野における特定技能の業務区分の統合は、受け入れ企業・外国人労働者の双方にとって大きな利便性向上につながる改正となっています。
まとめ
建設分野における特定技能ビザは、技能実習制度の課題を踏まえ、より適正な就労環境を確保するために特別な規制が設けられています。特に、受入企業の許可要件、労働環境の整備、外国人技能者の安全確保、業界団体の関与といった点で、他業種の特定技能と大きく異なります。
このような厳格な基準がある一方で、建設分野の特定技能ビザを取得すれば、労働環境の整備がなされた企業で安定して働くことができるようになっています。受入企業は、特定技能制度の詳細を把握し、適切な環境を整えることが重要です。
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