外国人を事務職で雇用する際、どのようなビザが必要になるのか

近年の深刻な人手不足により、事務職の求人を出しても十分な応募が集まらないケースが増えています。そのため、日本人だけでなく外国人まで採用の対象を広げようと検討する企業も少しずつ増えてきました。

一方で、初めて外国人を雇用しようとする企業からは「事務職ならビザは必要ないのでは」「在留資格の手続きは本人に任せればよいのでは」といった声も少なくありません。

外国人が日本で事務業務に従事するには、職務内容に合った就労ビザ(在留資格)を正しく取得していることが前提です。企業側が要件を確認しないまま採用すると、せっかく採用したのに働けない、ビザが下りずに入社できないといったトラブルに発展しかねません。特に就労ビザの審査では、仕事内容と本人の学歴・職歴との整合性が厳しくチェックされます。そのため、外国人を事務職として雇用するには、制度を正しく理解し慎重に準備することが欠かせません。

本記事では、外国人の雇用を検討している企業の採用担当者に向けて、「どの在留資格が適用されるのか」「どのような業務が対象になるのか」といった疑問にお答えし、スムーズな採用・ビザ申請のために企業が押さえておくべきポイントを整理して解説します。

どのようなビザが必要になるのか

事務職には、経理、人事、法務、総務など幅広い業務が含まれます。外国人をこれらの職務に従事させる場合には、その業務内容に応じた適切な就労ビザを取得する必要があります。具体的にどのようなビザが該当するか、以下で詳しく解説します。

「技術・人文知識・国際業務」が一般的な選択

多くの場合、事務職で必要とされる在留資格は「技術・人文知識・国際業務」です。このビザは、ホワイトカラー職のために設けられた在留資格で、事務職はその中でも「人文知識」のカテゴリーに分類されます。

「技術・人文知識・国際業務」ビザでは、申請者の学歴や職歴が職務内容に関連していることが条件とされます。例えば、経済学や商学を専攻した大学を卒業した方であれば、経理や人事業務などに対応した職務内容でビザを取得することが可能です。

🔗 関連記事:➡ 外国人を雇用するには?就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の取得条件とポイント

「企業内転勤」ビザに該当する場合も

一方、海外の本社や関連会社から日本の支社へ転勤する場合には、「企業内転勤」ビザが該当するケースもあります。このビザは、同じ企業グループ内での人材移動をスムーズに行うために設けられた在留資格です。既に外国本社で一定期間勤務していることが条件となります。

🔗 関連記事:➡ 在留資格「企業内転勤」ビザの申請要件とは?取得条件や必要書類を解説

「法律・会計業務」ビザについて

法務や会計業務を担当する外国人の場合、「法律・会計業務」ビザが必要となる場合があります。しかし、この在留資格は外国法事務弁護士や外国公認会計士といった高度な専門職を対象としているため、事務職として雇用するケースでは該当することは稀です。

📌 正しいビザの選定が重要

外国人事務職を雇用する場合には、業務内容に適したビザを選定することが不可欠です。



その中でも「技術・人文知識・国際業務」ビザは、事務職の雇用において最も一般的に利用される在留資格です。このビザを取得するためには、学歴や職務内容が求められる条件に適合していることが重要です。

そのため、次は「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得する際の具体的なポイントや注意点について詳しく解説していきます。

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外国人事務職の雇用に必要な「技術・人文知識・国際業務」ビザ取得のポイント

外国人の方を事務職として雇用する際、「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得するためには、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。



特に、学歴や職務経歴と申請する職務内容の関連性や、仕事内容の専門性が審査のポイントとなります。

ここからは、外国人事務職の雇用において「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得するために押さえておくべき具体的な条件と注意点について詳しく解説していきます。

🔹 学歴・経歴と職務内容の関連性が重要

「技術・人文知識・国際業務」を取得するためには、申請者の学歴や職務経験が、実際に行う職務内容と関連している必要があります。

通常、経済学部や商学部を卒業した方が該当しやすいですが、関連する単位を一定数取得していれば、他の学部の卒業者でも許可が得られる場合があります。当事務所の事例では、関連単位が2~3個程度でも許可を受けたケースがあります。

🔹 職務内容が明確かつ専門的であること

「技術・人文知識・国際業務」はホワイトカラー職種向けのビザであるため、単調作業が主な業務の場合、許可が下りる可能性は低くなります。

たとえば、データ入力や書類整理、発送業務といった単調作業は主な業務内容に含めるべきではありません。



ただし、これらの業務を主な業務に付随して行う場合は問題ありません。主な職務内容としては、経理、人事、法務、総務などの専門性が求められる業務を記載する必要があります。

申請書に「庶務」や「一般事務」とだけ記載すると、不明瞭として追加資料の提出を求められる可能性が高くなります。



そのため、たとえば「社員の勤怠管理、顧客対応に関する事務処理、請求業務」など、具体的な業務内容を明記することをお勧めします。

また、日本語能力検定の合格証やパソコンスキルに関する資格証明書を添付すると、職務内容の信頼性を高めることができます。

🔹 専門学校卒業者の条件

専門学校卒業者の場合、「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の認定を受けている学科の卒業生は、大学卒業者と同等に緩和された条件で審査されます。



しかし、それ以外の専門学校卒業者の場合、職務内容との関連性が厳格に求められます。

たとえば、事務職の採用を目指す場合、卒業した専門学校の学科が「国際ビジネス」など事務職と関連性があるものでない限り、ビザ取得が難しいでしょう。



また、いずれの場合でも「学士」や「専門士」などの学位が必要であり、卒業証明書にその記載があることを確認してください。

外国の大学卒業者の場合、学位の有無に注意が必要です。たとえば、中国の2年制専科大学の卒業生は卒業だけでは学位を取得できないため、条件を満たさない場合があります。

🔹 報酬額が適正であること

「技術・人文知識・国際業務」では、雇用契約書に記載される報酬額が、日本人を同条件で雇用した場合と同等以上であることが求められます。極端に低い報酬額を提示した場合、ビザ取得が難しくなりますので、適正な給与額を設定してください。

最後に――外国人事務職を採用する際のビザ申請、準備はもうお済みですか?

外国人を事務職として雇用する際は、「職務内容に合ったビザの選定」と「要件を満たす根拠資料の提示」が求められます。

要件を満たしているつもりでも、内容のミスマッチで不許可になることがあります。また、入管Webサイトの最低限の書類だけでは説明不足になる場合もあります。

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