外国人が日本で会社を設立する場合、株式会社と合同会社どちらを選ぶべきか?
近年、「日本で新しくビジネスを始めたい」「経営管理ビザの取得を検討している」という外国人の方からのご相談が増えています。
ビジネスの内容も多様で、例えば
- 母国で製造した商品を日本で販売するための子会社の設立
- 日本から原材料を輸入するための拠点としての支店設立
- オンライン事業やコンサルティング業など、個人ベースで始めるスモールビジネス
など、目的に応じて設立形態もさまざまです。

よくあるご質問:「株式会社と合同会社、どちらを選べばよいですか?」
会社設立にあたり、非常によく寄せられるのがこの質問です。
- 株式会社(Kabushiki Kaisha)
- 合同会社(Godo Kaisha)
どちらも法的には「法人格」を持つ会社形態ですが、それぞれに設立コスト、運営の柔軟性、社会的信用度など異なる特徴があります。
このページでは、外国人が日本で会社を設立する場合において、株式会社と合同会社の違いをわかりやすく整理し、どちらを選ぶべきかの判断基準を詳しく解説していきます。
💡 この記事でわかること
- 業種や将来の事業展開によってどちらが向いているか。
- 株式会社と合同会社の違い(設立費用・構成・意思決定など)
- 外国人が経営管理ビザを取得する場合に気をつけるポイント
株式会社と合同会社の違いとは?
外国人の方が日本で新たに会社を設立する際、選択肢となる法人形態には主に以下の3つがあります。
- 株式会社(Kabushiki Kaisha)
- 合同会社(Godo Kaisha)
- 個人事業主(Sole Proprietor)
このうち「経営・管理」ビザを取得して事業を行う場合、個人事業主という形態は非常にハードルが高く、現実的には株式会社または合同会社のどちらかを選ぶケースがほとんどです。
なぜ個人事業主は難しいのか?
経営管理ビザは、日本で会社を経営する外国人向けの在留資格ですが、学歴や職歴が問われないため、過去にはビザを取得したものの実際には事業を行っていない「名ばかり経営者」も多数いました。
その反省から、現在では入管が「会社の実在性」を厳しく審査するようになっています。
この点、個人事業主は税務署への「開業届」1枚で開業できてしまうため、信用性や実在性の証明が難しく、ビザの取得・更新が非常に困難です。
また、個人事業主では外国人スタッフを雇用して在留資格(技術・人文知識など)を取得させることも事実上不可能に近いため、外国人が日本で事業を行う場合は、法人を設立するのが基本と考えてください。
外国人の会社設立における実態
現在、日本国内に存在する法人のうち、約90%が「株式会社」です。
一方で、新しく設立される会社の約25%は「合同会社」というデータもあり、近年は合同会社の利用も確実に増えています。
では、株式会社と合同会社の違いは何でしょうか? 以下に詳しく比較していきます。
📌 株式会社と合同会社の比較表(概要)
比較項目 | 合同会社(Godo Kaisha) | 株式会社(Kabushiki Kaisha) |
---|---|---|
法的根拠 | どちらも会社法に基づく法人 | |
法人格 | どちらも法人格あり(個人とは別) | |
社員の責任 | 有限責任 | |
設立人数 | 1人以上 | |
定款認証 | 不要 | 必要(公証人の認証が必要) |
登録免許税 | 最低6万円 | 最低15万円 |
定款印紙代 | 4万円(電子定款なら不要) | |
定款認証手数料 | 不要 | 約5万円 |
経営者の構成 | 出資者=経営者(原則) | 取締役または取締役会 |
経営の自由度 | 高い | 低い(ルールが多い) |
所有者 | 出資者(社員) | 株主 |
決算公告義務 | なし | あり(実施していない企業も多い) |
利益の配分 | 自由に設定可能 | 出資比率に応じて分配 |
任期(取締役) | なし | 2〜10年ごとの更新が必要 |
任期(監査役) | なし | 4〜10年ごとの更新が必要 |
コスト面での違い
🔹 設立コスト
合同会社は設立時に定款の認証が不要で、登録免許税も株式会社より低いため、総コストは約10万円前後に抑えられます。
これに対し、株式会社は定款認証や手数料が発生するため、設立費用はおおよそ22万〜25万円程度となります。
🔹 ランニングコスト(維持費)
株式会社は取締役の任期ごとに役員変更登記が必要で、登記には司法書士の費用がかかるケースが多いため、維持コストがやや高くなります。
一方、合同会社は任期がなく変更登記も不要なため、維持費が低く抑えられます。
また、合同会社では役員報酬を適切に設定することで、所得税・住民税・社会保険料の節税にもつながる可能性があります。
⚠️ 注意点:信用度という壁
コストや柔軟性の面では合同会社が優れていますが、合同会社は社会的な「信用度」でやや不利になることがあります。
まだまだ一般的には株式会社の方が「しっかりした会社」というイメージを持たれやすく、特に次のような場面では注意が必要です。
- 取引先や金融機関との交渉
- 採用活動(求人広告など)
- 官公庁との契約
ただし、すでに母国などで一定のブランドや実績がある企業であれば、合同会社という形態でも全く問題になりません。
実際に、Amazon Japan や Apple Japan も合同会社として登記されています。
外国人の方が設立する会社は株式会社と合同会社のどちらが良いか?
次に、株式会社と合同会社の違いを踏まえ、外国人の方が設立する会社は株式会社と合同会社のどちらが良いかについて考えていきます。
結論から言うと、会社の形態はビジネスの内容や方針によって最適な選択が異なります。ここでは、それぞれの特徴と外国人が設立する際の適性について詳しく解説します。
✅ コスト vs 信用度:合同会社と株式会社の基本的な違い
前述のとおり、合同会社は設立コストや運営コストが低く、自由度の高い経営が可能です。一方で、社会的信用度では株式会社に劣るというデメリットがあります。
この「信用度」の差は、日本国内での営業活動に大きな影響を与える可能性があります。
✅ 信用が重視されるビジネスでは株式会社がおすすめ
特に、日本で新たに販路を開拓しようとしている場合は注意が必要です。
日本にまだ実績がない状態で取引先を開拓する場合、会社の信用力が判断材料のひとつになります。株式会社という名称は日本国内で広く認知されており、初対面での印象も良くなりやすいため、ビジネス上の信頼を得やすい傾向があります。
心理学的にも、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」では、第一印象の55%が視覚(外見)によるものとされています。つまり、会社の形態や商号も「外見」の一部とされ、「合同会社」という名称が与える印象がネガティブに働く可能性もあるのです。
特に取引先の年齢層が高くなるほど、「合同会社は信用できない」といった先入観を持たれるリスクも高まります。
✅ 店舗型ビジネスなら合同会社も選択肢に
一方で、飲食店や小売業などの店舗型ビジネスの場合、顧客が目にするのは会社名よりも店舗名です。このような事業では、運営母体が株式会社か合同会社かを気にされることはほとんどありません。
そのため、こうしたビジネスではコストメリットの大きい合同会社が適しているケースも多くあります。
実際に、店舗名にブランディング力を持たせることで、合同会社でもまったく問題ない運営が可能です。
⚠️ 理論上は途中で「株式会社」に切り替えることも可能だが…
「まずは合同会社で設立して、あとから株式会社に変更する」という方法も理論上は可能です。
しかし、実務上は定款変更・登記変更・新たな手続きが多く、コストや手間がかかるため、実際にはあまり推奨できる方法ではありません。
最初から将来的な展開や信用を重視したいのであれば、最初から株式会社を選ぶ方が合理的です。
📌 ビザ申請の観点からも株式会社が有利なケースが多い
さらに、「経営・管理」ビザの審査においても、会社の形態が審査官の印象に影響を与える場合があります。
- 株式会社は設立手続きが煩雑であるため、申請者が本気で事業を立ち上げようとしていると見なされやすい
- 合同会社は設立が簡単な分、「ビザ取得のためだけに形式的に設立したのではないか」と疑われる可能性がある
このような点からも、実在性・信用力・事業の本気度を求められる外国人の経営管理ビザ取得には、株式会社の方がより適しているといえるでしょう。
🔍 結論:どちらを選ぶべきか?
目的・事業形態 | おすすめの会社形態 |
---|---|
営業・販路開拓を重視するビジネス | 株式会社 |
信用度を大切にしたい場合 | 株式会社 |
飲食店・小売業などの店舗型ビジネス | 合同会社 |
スモールスタートでコストを抑えたい場合 | 合同会社(ただし将来的に要検討) |
会社形態の選択は、事業の成功やビザの取得に大きく関わります。初めての設立で不安がある場合は、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。必要であれば、「合同会社→株式会社」変更の流れや実務上の注意点もご案内可能です。お気軽にお問い合わせください。
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