建設業・工事業での外国人雇用|必要な就労ビザと取得条件を解説

外国人が日本で働くには、業務内容に応じた在留資格(就労ビザ)を取得する必要があります。

しかし制度の仕組みや書類準備について十分に理解しないまま進めてしまい、「申請方法が分からない」「本人に任せて大丈夫だと思っていた」といった不安やトラブルに直面する企業も少なくありません。

特に建設業や工事業などの現場系職種では、雇用形態や業務内容によって適用されるビザが複数あるため、要件を正しく理解していないと「雇ったのに働けない」という事態に陥ることもあります。

そこで本記事では、「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「技能実習」など、建設業で外国人を雇用する際に該当しうるビザの種類とそれぞれの取得条件、メリットや注意点について詳しく解説します。制度の全体像を把握して、安全かつスムーズな雇用につなげたい方は、ぜひ参考にしてください。

申請を検討している方にとって、判断の参考となる内容をまとめていますが、調べたり準備を進める中で不安を感じた場合は、どうぞお気軽にご相談ください。当事務所では、「いきなり依頼するのは不安」という方のために、まずはお試しとして初回無料相談(詳細はこちら)を実施しています。不安を整理し、正しい進め方を確認する第一歩として、ぜひご利用ください。

なお、建設業・工事業において主に利用される就労ビザは、以下のとおりです。各在留資格をクリック(またはタップ)すると、そのセクションへ移動します。

それでは、それぞれのビザについて順に解説していきます。

1️⃣ 技術・人文知識・国際業務

「技術・人文知識・国際業務」ビザは、外国人が日本でホワイトカラーの仕事に就く際に取得できる代表的な就労ビザです。

建設業・工事業においては、施工管理、設計、マーケティングなどの業務に従事する場合に取得可能です。特に、大学や日本の専門学校を卒業した外国人が、建設会社や工事業で関連する職種に就く際に適用されます。

📌技術・人文知識・国際業務の主な取得の条件

このビザを取得するためには、申請者の学歴・経歴と、就労予定の業務内容に関連性があることが求められます。具体的には以下のようなケースが該当します。

  • 施工管理・設計業務 → 建築学部・理工学部の建築学科などを卒業
  • マーケティング業務 → 経営学部・商学部などを卒業

日本の専門学校を卒業した方も、学歴・経歴と業務内容に強い関連性があれば取得可能です。ただし、「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」認定校などの一部の例外を除き、大学卒業者よりも厳格に審査される傾向があります。

また、学歴がない場合でも、10年以上の実務経験を証明できれば取得可能とされています。しかし、実際には実務経験の証明が難しく、許可を得るのは非常に困難です。

技術・人文知識・国際業務のメリットと注意点

【メリット】

  • 特定技能や育成就労に比べ、申請時や雇用時のコストを抑えられる
    • 特定技能や育成就労では、国内採用時でも初期費用が30~40万円、月々2~4万円の費用が発生するが、「技術・人文知識・国際業務」ビザではそれらの費用が不要
  • 長期的な雇用が可能で、キャリアアップが期待できる

⚠️【注意点】

  • 現場作業を主な業務とすることはできない(このビザはホワイトカラー職種に限定されるため)

「技術・人文知識・国際業務」ビザは、建設業・工事業において、施工管理や設計、マーケティングといったホワイトカラーの業務を担当する外国人を採用する際に適した就労ビザです。一方で、現場作業が中心の業務では取得できないため、職種に応じて適切なビザを選択することが重要です。

🔗 関連記事:➡ 外国人を雇用するには?就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の取得条件とポイント

2️⃣ 特定活動(46号)

次に紹介するのが「特定活動(46号)」ビザです。

特定活動ビザは、他の在留資格に当てはまらない場合に付与される「その他」のようなビザで、それぞれに番号が振られています。特定活動(46号)は、日本の大学を卒業し、高度な日本語能力を持つ外国人留学生が取得できる在留資格です。

特定活動(46号)でできる業務

このビザで従事できるのは、以下のような業務です。

  • 「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」
  • 「日本の大学・大学院で習得した広い知識、応用的な能力を活用する業務」

具体的には、建設現場や工場での外国人従業員への指示伝達、業務指導、品質管理、労務管理、製造ライン作業などが含まれます。

ただし、単純作業のみを行うことは認められていません。製造ライン作業を行う場合でも、指示伝達や業務指導と並行して行う必要があります。

📌 特定活動(46号)の主な取得条件

このビザを取得するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 短期大学を除く、日本の大学を卒業しているまたは大学院の課程を修了し、学位を取得している
  2. 日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けること
  3. 日本語能力試験(JLPT)N1取得またはBJTビジネス日本語能力テストで480点以上
  4. 日本の大学・大学院で習得した広い知識および応用的能力を活用する業務に従事し、正社員または契約社員として勤務すること

特定活動(46号)のメリットと注意点

【メリット】

  • 「技術・人文知識・国際業務」ビザでは認められていない単純作業を、一定の範囲で行うことができる。
    • 例えば、指示伝達や業務指導をしながら製造ライン作業を行うことが可能

⚠️【注意点】

  • 取得条件が非常に厳しいため、該当する外国人が少ない

特定活動(46号)は、外国人労働者の指示伝達や業務指導を含む業務に適したビザですが、取得条件が厳しく、対象者が限られる点に注意が必要です。

このビザの適用を検討する際は、候補者が条件を満たしているか慎重に確認し、適切な在留資格を選択することが重要です。

🔗 関連記事:➡ 特定活動46号ビザの内容や取得の条件、提出書類などを徹底解説

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迷っている段階の方も、お気軽にご相談ください。不安な点を整理し、現在の状況と必要な対応を確認できます。ご希望があれば、そのまま申請代行までお任せいただけます。

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 注意 ー

  • インターネット上で紹介されている書類一覧や、出入国在留管理局のWebサイトに掲載されている情報は、あくまで最低限の目安です。実際の申請では、申請人の状況に応じて様々な書類が求められます。そのため、リスト通りの書類を提出しても、審査が長引いたり、不許可となったりする場合があります。
  • ネット上には古い情報や不正確な内容も多く、一般的な情報だけを参考にすると誤った判断につながるおそれがあります。正しい情報かどうかを見極めるには、一定の専門知識や最新の入管制度に関する理解が必要です。
  • AIの回答はインターネット上の情報をもとに生成されるため一部に誤りを含むことが多く、完全な誤情報よりも見抜きにくい点に注意が必要です。安心して申請を進めるためにも、必ず最新の公式情報や専門家の確認を行うことが大切です。

🔗 関連記事:➡ ビザ申請でAIやインターネットの情報を信用しすぎるリスク

3️⃣ 日本人の配偶者等や永住者などの身分系在留資格

「日本人の配偶者等」「永住者」「定住者」など、一定の身分に基づいて与えられる在留資格を「身分系在留資格」と呼びます。

この在留資格を持つ方は、就労ビザと異なり、就労制限がありません。そのため、現場での作業から、事務所での経理・設計業務まで、自由に働くことができます。

身分系在留資格のメリットと注意点

【メリット】

  • 就労ビザとは異なり、仕事の内容に制限がない
  • 新たに就労ビザを取得する必要がないため、雇用手続きが簡単
  • 単純作業を含むあらゆる職種での雇用が可能

そのため、外国人を採用する際は、「日本人の配偶者等」や「永住者」などの身分系在留資格を持つ方を採用するのが最も手続きが簡単です。

⚠️【注意点】

  • 在留資格は「身分」に基づいているため、その身分を失うと資格も失われる
    • 例えば、「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ方が離婚すると、在留資格を喪失する可能性がある
  • 会社の事情ではなく、個人の事情で在留資格が失われるリスクがある

身分系在留資格は、就労の自由度が高く、雇用手続きも簡単ですが、身分の変化によって在留資格を失うリスクがあるため、長期雇用を前提とする場合は注意が必要です

🔗 関連記事:➡ 結婚ビザ(日本人の配偶者等)の取得条件とは?

4️⃣ 特定技能・育成就労(旧技能実習)

「特定技能」制度は、国内で人材確保が困難な産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れるための制度です。現在、16の対象産業分野があり、その中に建設業も含まれています。

特定技能には1号と2号があり、取得には以下の条件を満たす必要があります。

  • 特定技能評価試験に合格すること(業務に関する知識・技能の証明)
  • 日本語能力試験(JLPT)N4以上を取得すること(日常会話レベルの日本語力)

「育成就労制度(旧技能実習)」とは?

一方、「育成就労制度」(旧技能実習制度)は、日本の発展のための人材育成と人材確保を目的とした新制度で、2024年現在、近い将来に導入予定です。

この制度では、外国人材を3年間の育成期間を経て、特定技能1号の水準に達することを目標としています。つまり、「特定技能」を取得する前の準備段階として位置付けられます。

「特定技能・育成就労」ビザのメリットと注意点

【メリット】

  • 現場作業が可能(「技術・人文知識・国際業務」や「特定活動(46号)」のような業務内容の制限がない)

⚠️【注意点】

  • ビザの取得手続きが複雑で、申請時や雇用時に高額なコストがかかる
  • 雇用企業にも厳しい条件があり、「外国人受け入れ体制の整備」が必須
    • この要件を満たせない企業が多いため、通常は「受け入れ支援機関」に支援業務を委託する必要がある
    • 支援機関への委託費用がかかる(採用時に30~40万円、月々2~4万円)

「特定技能」ビザは、建設業などの現場作業に適した在留資格ですが、取得手続きやコストの負担が大きい点に注意が必要です。



さらに、新たに導入予定の「育成就労制度」は、特定技能の前段階として、より多くの外国人材を受け入れる仕組みとなる見込みです。

外国人労働者を雇用する際は、コストや手続きを十分に理解し、最適な在留資格を選択することが重要です。

🔗 関連記事:特定技能外国人を雇用する際の流れと手続き

5️⃣ その他、技能や特定活動(9号)、資格外活動許可など

上記のほか、以下のケースに該当する場合は、特定の在留資格を取得することで就労が可能となります。

  • 「技能」ビザ → 海外様式の建築物の建設・施工・組立を職務内容とする場合
  • 「特定活動(9号)」ビザ → 外国の大学の学生がインターンシップとして就労する場合

⚠️ アルバイトとしての就労について

「家族滞在」や「留学」ビザを持つ方も、資格外活動許可を取得すればアルバイトが可能です。
ただし、以下の制限があるため注意が必要です。

  • 週28時間以内の労働制限がある
  • 週のどのタイミングで区切っても28時間を超えてはいけない(厳格な計算方式)

この28時間の制限を超えて労働してしまうと、在留資格の更新が認められない可能性が高くなるため、十分に注意してください。

最後に――外国人を採用するにあたり、ビザ申請でお困りの採用担当者の方へ

建設業で外国人を雇用するには、「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務」など、業務内容に合った在留資格の選定が重要です。また、要件の見落としや書類の不備があると、不許可となるリスクもが高まります。

✅ 自社の業務に合う就労ビザがわからない
✅ 最新の審査基準や必要書類を知りたい
✅ 書類作成や申請を専門家に任せたい

このようなお悩みがある方は、下記の「お問い合わせ」から無料相談をご利用ください。現在の状況を確認し、個別の事情に応じて許可の見通しや申請手続きの流れを丁寧にご案内します。

ご相談後、そのまま申請代行をご依頼いただくことも可能です。ご依頼いただければ、御社の状況に合わせて最適な申請プランをご提案して必要書類リストの提示から申請書・理由書の作成、入管とのやり取りまで一括してサポートいたします。不許可リスクを減らし、準備の負担を大幅に軽減できるため、安心して本業や日常生活に専念いただけます。

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不安なままにせず、今の状況を整理しておきましょう。
迷っている方も、まずはお気軽にご相談ください。


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